堂本剛に森崎ウィンが聞くエンターテイナーの生き方「好きなことだけやっていくのって大変ですか?」
自分のしたいことだけをやるにはルールが一つある
森崎 ちょっと後輩としての質問をしていいですか。 堂本 いいですよ。 森崎 そこに行くまでって、好きなことだけでは生きていけないよねっていうことを深く経験して、言い方が失礼になったら申し訳ないですけど、そこを耐え抜いたからということですか。 堂本 ええよ。失礼ちゃうから。「耐えた」っていうワードで言うとね、「耐えたわりには」ですね。「耐えたからこそ」ではなかったです。 森崎 「耐えたわりには」? 堂本 「耐えたわりには」、なんや、やっぱり自分の好きなことをやって生きていけるんやっていう。 森崎 なるほど。やっぱりそうだったんだって。 堂本 もちろんすべての人に好かれる必要性がある場所を目指すとか、とにかくすべてを得たいという望みがあるのであれば、きっと自分のやりたくないこともやらないとあかんと思うけど。 森崎 そうですね。 堂本 こんな車に乗りたい。こんな家に住みたい。こんな服着たい。こんなところでご飯食べられるような毎日を送りたい。そういう欲求が多すぎると、純粋に自分のしたいエンタメだけじゃなくて、ビジネス的なことも考えざるを得ない。けど、僕の場合は別にこれさえあればいいなって思うところに着地しちゃったから、あとはその道をずっと歩いてればいいだけなんですよ。 森崎 そうか。すごいよくわかりました。 堂本 なんか、飛ぼうとするからしんどいよね。 森崎 俺はまだ飛ぼうとしているのかもしれないです。小林聡美さん演じるギャラリーのオーナーが言うじゃないですか。「求められていることに応えるのもアーティストとしての義務なのよ」って。たぶん僕は今そこにいて。そこを超越したら、剛さんが今いらっしゃる次元に辿り着けるのかなって。 堂本 もし僕が森崎さんに一つ伝えてあげられることがあるとしたら、自分のしたいことだけをやるにはルールが一つあると思っていて。 森崎 ルールって何ですか。 堂本 自分が魅力的になっていくこと。それは、周りの人から見てもそうやし、自分にとってもそう。「これしてるときの堂本さんってなんかいいですね」って言ってもらえるようになっていかなきゃ、したいことだけやるのは難しいと思う。 森崎 うわあ、ありがとうございます…! なんか僕の悩み相談になっちゃった(笑)。 堂本 全然ええよ(笑)。 森崎 やっぱり経験してきた人の言葉は響きが全然違いますね。たぶん僕にはまだその経験が足りなくて。人から「いいですね」と言ってもらえるところまでいけていない。だから、そうなれるためにも、100%自分が望んでないことでもやっていかなきゃいけないし、人から求められることにどんどん応えていく時期なんだろうなと思いました。 堂本 自分らしく生きることに対して怖がっている人って多くて。勇気が出なくて踏みとどまってしまうこともあるかもしれないけど、やってみたら意外と簡単だったというのが僕の実感です。だから、そうしたい人はそうしたらいいなってめっちゃ思ってる。自分らしく生きるって、とても素敵なことなんだよと伝えたいですね。 取材・文:横川良明 撮影:映美 <作品情報> 映画『まる』 10月18日(金) より全国公開 (C)2024 Asmik Ace, Inc.