ビキニ階級5連覇に輝く「腹筋バキバキ」のボディを作り上げたダンシーあずさ 減量末期にボディビル日本王者からかけられ「涙した」言葉とは
2023年、階級別の日本一を決めるオールジャパンフィットネス選手権において、ビキニフィットネス163㎝以下級5連覇を達成したダンシーあずさ(だんしー・あずさ/34)選手。華々しい競技成績に加え、Instagramのフォロワー数は10万人を誇るなど、フィットネスインフルエンサーとして高い知名度を誇るが、実は昨年、競技への向き合い方についての苦悩や葛藤に悩まされていたという。日に3時間というかなりハードな有酸素運動で調整を間に合わせるなど、心身ともに疲労が溜まっていた。そんな状態のダンシー選手を救ったのは、昨年、ボディビル日本選手権の3連覇に輝いた「令和の怪物」だった―― 【写真】ダンシーあずさ選手の「バキバキに割れた」腹筋のビキニ姿
自分の成長を喜ぶために――チャンピオンの助言とオフ期の取り組み
――Xシェイプとフロントポーズの弱さを改善点としてあげていました。 ダンシー ヨーロッパの強豪を見ると、絞りがすごくてかなりセパレーションを出しています。ビキニの基準はヨーロッパですし、そこに合わせていかなければ勝てない。かと言って、今の自分の筋量でただ絞り込むだけではガリガリになるだけ。シェイプが強くなるわけではありません。全身の筋肉量の増加と絞り、2つの課題がクリアできなければ、より良い結果は出せないと踏んでいます。 ――具体的にどう取り組みましたか。 ダンシー シーズン後、食事を減量食のまま6回に増やして(2000~2500kcal/日)、トレーニングを週5から週6~7に変えました。1部位に対する種目数も増やしましたし、重量も重いものを扱うようになりました。 ――専らバルクアップに勤しんだ。 ダンシー はい。重量に関して、私はずっと重さにこだわらず効かせることと丁寧な動作を重要視してやってきました。競技特性を考えてそうしていたのですが、その反面、追い込み切れていない部分があったんだと気づきました。今は効かせるセットの後、多少反動などを使ったとしても重いものを扱うという刺激の入れ方に、怖がらずに取り組むようになりました。体重も63㎏まで増えたので、そのぶん扱えるようになった部分もあって、体脂肪も乗りましたが筋肉も相当ついた実感があります。 ――ウエストは細く保っていると思いますが、それはどうしていますか。 ダンシー 常にドローインをしています。トレーニング中以外も内臓に近い筋肉を使って生活をしているので、普段からおなかが緩んでいる状態をほとんど作らない習慣が身についています。腰回りの柔軟性も大切で、ストレッチも欠かしません。あとは食事の内容と量にも気を使っているので、おなかがぽっこり出るタイミングも無いと思います。 ――新たな取り組みによって、一番変化を感じている部位はありますか。 ダンシー 相澤(隼人)くんに教えてもらった、ストレッチ感ほぼゼロのブルガリアンスクワットを実施することでおしりの厚みと立体感が出るようになりました。あとは、ハム。スミスでルーマニアンデッドリフトをやっているのですが、ハムへのストレッチをじゅうぶんにかけるために骨盤の動きに意識を向けてすごく丁寧に下ろすようにしています。そのあと、ワンレッグのレッグカールで片脚ずつしっかり収縮させていますね。自分が狙いたい筋線維に対する刺激を考えて全身メニューを組むようにしています。 ――相澤さんの名前が出ました。いろいろな相談をしていたと伺いました。 ダンシー ジムが同じなので、話をよくするんです。昨年は私が減量に大苦戦しているとき、声をかけてもらったところから少し相談をさせてもらったんです。「自分の成長を楽しめないとステージに立っても身体は良くならない。まずは自分と向き合って自分の成長を喜び、楽しむ。それがこの競技をするうえでの揺るぎない強さになるんです」との言葉をもらって、泣きました(笑)。世界に出なかったら後悔する。「負けてもいいじゃないですか。出れば必ず成長します」と、背中を押してくれたのは相澤くんです。 ――では最後に、今シーズンに向けて。
ダンシー 昨シーズンで気づいた自分の課題を克服するために、オフ期の取り組みを変えてきているので、まずは自分自身でそこの変化、自分の成長を喜べるところまでもっていきたいです。そこまでもっていけたら、オールジャパンに出場しようと思っています。自分に対して掲げた目標を達成できないまま大会に出たとしても、むしろ後悔してしまう気がするんです。今年に関しては出場することが成長につながるとは感じないので、そこまで自分の身体をもっていけるように一日一日を大切に積み重ねていきます。
取材:鈴木彩乃