マイナス金利が金融市場や実体経済に与える影響とは? 日銀会合結果Q&A
Q:マイナス金利導入の本当の狙いは?
A:円安・株高の流れを後押しすることで、金融市場を通じた実体経済の刺激効果を期待していると思われます。当然のことながら、実体経済の回復は日銀の物価目標である2%に繋がります。
Q:なぜマイナス金利で円安に?
A:為替を決定する要因は数多くありますが、重要なのは両国の金利差。つまり、USD/JPYは日米金利差に影響を受けます。市場参加者はUSDとJPYについて、それぞれ得られる金利を予想して取引します。
USDの金利がさらに上がると予想すればUSDを買い、反対にJPYの金利が下がると予想すればJPYを売ります。今回はJPYの金利が予想外に下がったので投資家は即座にJPYを売ったということです。実際、USD/JPYは日米金利差と強い連動性が認められています。
Q:なぜマイナス金利で株高に?
A:株価を決定する要因は数多くありますが、1.円安で日本企業の収益が潤う、2.金利が低下すると株式の相対的な魅力が高まる、という効果が期待できます。1についての説明はほかに譲りますが、2について少しだけ解説します。株式は値上がり益のほか、配当が期待されています。現在、日本株の配当利回りは2%強ですが、それに対して10年金利は0%台前半です。金利が下がれば、配当利回りとの差(イールド・スプレッド)が拡大しますので、株価が上昇しやすくなります。上述の円安誘導もしかり、日銀は金融市場の好転を狙っていたと思われます。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。