軽貨物車両の事故が多発…激変する“運送業界の最前線”に密着
今回のテーマは、「ニッポンの物流を守れ!~2024年危機の舞台裏~」。 今年4月から、物流業界にも適用される「働き方改革関連法」。これまで人手不足や長時間労働が常態化していたことから猶予されてきたが、4月からは配送ドライバーの労働時間に上限が定められる「物流の2024年問題」が懸念されている。 業界大手「セイノーホールディングス」は、「働き方改革」と「大量物流」の両立を目指して、これまでのオペレーションを一気に見直すなど、対応に奔走していた。 「2024年問題」で激変する、運送業界の最前線に密着した。 【動画】「2024年問題」で激変する、運送業界の最前線に密着
ニッポンの物流“大動脈”を変革する! セイノーホールディングスの挑戦
去年12月、「九州西濃運輸」福岡支店。ここは、1日1000トン以上もの荷物が行き交う、九州最大の物流拠点だ。4月から始まる時間外労働の上限規制により、今、トラックドライバーの働き方が大きく変わろうとしていた。 「九州西濃運輸」の中原秀夫さん(47)は、妻に支えられながら子ども3人を育ててきた勤続15年目のベテランドライバー。3日かけて往復1800キロを移動する長距離便を任されてきたが、今回の規制を受け、会社は中原さんが担当する長距離便を廃止することに。ガイアは中原さんのラストランに同行した。
中原さんが運転するのは20トントラック。3日間の運行はドライバー2人体制のため、相棒の渕上博司さん(53)と共に、ドライバー自身が荷物を確認しながらトラックに積み込む。この作業だけで3時間かかる。
向かうのは愛知県内の3つの支店で、午後10時過ぎに出発し、最終到着予定は翌日の午後1時。目的地に時間通り運ぶため、緻密なスケジュールが組まれている。交代でハンドルを握り、もう1人は助手席で休みを取る。
できるだけトラックを止めずに走り続け、午前6時。兵庫県の三木サービスエリアでは、時間を節約するために歩きながら歯を磨く。
出発から15時間後の午後1時、最終目的地の愛知・豊川支店に到着。予定時刻ピッタリだ。時間に追われる中、20トントラックを1発で駐車位置に停めるのも、中原さんの技の一つ。出勤してから20時間…14年の付き合いになる豊川支店のスタッフともお別れだ。 従業員から「これからも頑張ってください」と握手を求められ、中原さんは笑顔で「寂しくなりますね」とこぼした。豊川で仮眠した後は荷物を積み、再び20時間かけて福岡へ戻る。