軽貨物車両の事故が多発…激変する“運送業界の最前線”に密着
1月10日。「金沢集約プラン」を進めていた馰井さんのもとに、北陸の各支店から次々とSOSの連絡が届く。「実家が被災し、母の介護が必要となったためしばらく運行ができない」というドライバーの声も。能登にある営業所では、配送先の多くが被災し、いまだに届けられない荷物がたまっていた。従業員の中には、自宅が壊れ、親族の家から出勤している人も。 さらに能登営業所の周辺は、いたるところで地盤の液状化が発生。こんなところをトラックが走れるのか?「金沢集約プラン」の行方は? 馰井さん、北陸の物流を守ることができるのか――。
“ラストワンマイル”を担うドライバーを守ろうと立ち上がった革命児!
物流業界で4月から適応される「時間外労働の上限規制」。運送業者が長距離ドライバーの働き方改革に取り組む中、もう一つ大きな課題がある。 宅配の荷物が年間50億個にも膨れ上がっているのに伴い、増えているのが、個人宅などを回る軽貨物車両の事故。死亡・重症事故は、年間403件(2022年 出典:国土交通省)も発生している。 1日最大400個を配る、この道24年のベテラン・逆井充文さんに聞くと、配達の単価は1個180円。単価が安くガソリン代は自腹のため、大量の荷物を配達しなければ稼げない。不在も多く、再配達も相次ぐ。労働時間は長くなるばかりだ。 逆井さんは「時間に追われるとか、荷物の量が多くなってきたとか、それで焦る。時間に余裕がないというのが(事故の)一番の要因」と話す。 こうした配送ドライバーの現状を変えようと立ち上がったのが、配送会社「北商物流」の社長・瀬戸口敦さんだ。
瀬戸口さんは、元々個人の配送ドライバーだったが、低賃金・長時間労働の業界を変えたいと一念発起し、2011年に会社を立ち上げた。社訓は「仕事は楽しく」。現在、10人の社員と委託ドライバー150人を抱えている。 7年前から個人事業主向けの安全運転講習会を開催しているが、瀬戸口さんは、事故の根本に、低賃金と長時間労働があると考えていた。 「(低賃金で)運転時間が長くなればなるほど、事故が起きる確率も多くなるし、ドライバーさんが人として普通の生活ができるラインがあると思う。ドライバーさんの待遇を上げないと、魅力ある業界にならない」。