まさかの栄養失調に? 77歳の泉ピン子が「終活やめた」と言う理由
「終活」より大事なこと
まぁそんな冗談は置いておいて、私が終活をやめた理由は、視聴者からの「ブランド譲れ」攻撃に辟易したからというのが一つ。でも他にもあるんです。それは、終活なんてものに勤しむエネルギーがあったら、まず自分の体を大事にする方が先決だと思ったから。歳をとってくると、何が億劫になるかっていうと、家庭を預かる主婦としては、とにかく家事です。ウチの夫婦は、夫が平日は東京のクリニックで仕事をしていて、週末だけ熱海に帰る生活をもう15年近く送っていますが、私、一人でいるときに自分のために料理を作る気にならないから、気に入ったリンゴばっかり1日6個とか食べて過ごしていたら、なんと栄養失調になっちゃったんです!
「あの、ちょっと言いづらいんですけど」
病院に行って血液検査したら、先生が、「あの、ちょっと言いづらいんですけど」って神妙な顔をしていたので、もしやガンか何かかなと思って、「何ですか? 何でも言ってください!」と言ったら、「血液中の栄養分が足りていなくて。簡単にいうと、栄養失調です」と。「武本さまのお年なら、リンゴは控えて、毎日ある程度お肉などのたんぱく質をお摂りになっていただかないと」なんて言われて恥ずかしかった。 それから、東京にいるときに何度か夫をデパ地下に誘って、熱海に帰る前に自分の好きな食材を買ってくるように躾けたんです。そしたら、「小夜ちゃん(※ピン子の本名)、楽しいね」ってご機嫌で。土曜のディナーのメインディッシュはレタスと豚肉の豚しゃぶで、肉はお肉屋さんが届けてくれるので、夫は好きなお刺身とレタスを買ってくるだけでいい。土曜の夜の我が家は豚しゃぶ一択です。でも、「お寿司屋さんより安かったから!」とかいって、全然安くもなんともないウニとか貝柱を買ってきちゃうから、最近は、一回メールで何を買うか送ってもらって、私のOKが出たものだけを買ってくるようになりました。
終活よりも「今を生きる」
こういうのを「終活」じゃなくて「老い支度」というのかな。夫婦の歩み寄りかたも含めて、いくつになっても肉体の変化には柔軟に対応していきたいな、なんて思います。もうカッコなんてつけなくていいんだから、お互いがラクになれるように。そう考えると、カッコつけずに、自分たちの気持ちいいスタイルを追求できることは、老人の特権なのかもしれません。 Styling:Mizuki Yamazaki Hair&make up:Mai Ikoma Text:Yoko Kikuchi Photo&Video: Naoto Otsubo Video Edit: Crea Saito
泉 ピン子