「カープ女子」の心をつかんだ広島に学ぶマーケティングの視点
テレビ地上波の放送が少なくなり、ファン離れが指摘されることもあるプロ野球ですが、近年、球場に足を運ぶファンは増加傾向にあります。2014年度には、セ・パ両リーグともに観客動員数が1000万人を超えるまでになっています。特に好調だったのが、観客動員数が対前年度比で約34万人増(21.7%増)となった広島東洋カープです。セリーグ全体で約41万人の増加だったことを踏まえると、カープの好調さが際立っています。そうした中で、注目されているのが、2014年12月1日に発表された「2014ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンにも選出された“カープ女子”の増加です。 男性ファンが多いプロ野球の球団の中で、なぜ、カープは多くの女性ファンを獲得できているのでしょうか。その秘密を探ってみましょう。
「ボールパーク型」の取り組み
一つ目は、いわゆる「ボールパーク型」の球場作りです。メジャーリーグでは一般的ですが、球場を単に「野球を見る場所」とするのではなく、飲食店を充実させたり、イベントを開催したりして、家族連れや野球の知識の少ない人などファンでなくても楽しめる場所にするというものです。 カープもそうした取り組みに力を入れています。例えば、ホームグラウンド「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」(マツダスタジアム)のシートは、寝そべって観戦できる特製クッションが用意された「寝ソベリア」、最大25名で食事などを楽しみながら観戦できる「パーティーデッキ」など計30種類のシートがあり、観客は思い思いのスタイルで野球を楽しむことができます。 また、試合の開催日には、地域の特産品販売など、来場者が世代に関係なく楽しめるイベントも数多く開催されています。 こうした取り組みを通じて、誰でも、気軽に生の野球に触れることのできる球場作りを行っています。
女性向けグッズ・イベント
二つ目は、カープ女子にターゲットを絞った充実した取り組みです。例えば、グッズであれば、女性向けのかわいいデザインのTシャツやキャップ、アイドルさながらに若手選手の写真を印刷した応援用うちわなど、女性が楽しめるグッズがたくさん販売されています。 また、関東のカープ女子を対象にマツダスタジアムでの観戦ツアーを開催したり、選手とのトークイベントを開催したりしています。