日本の1人あたりGDPが韓国に追いつかれるって本当?
背景にあるのは産業構造の変化です。製造業の就業者が減少する一方で、サービス業では増加しています。高度成長期には農業から製造業へという変化で、実質賃金が上昇しました。けれども、現在のような変化では、賃金はどうしても大きくは上昇しにくくなっています。 女性は医療福祉分野での就業者が増えています。一方で、男性については、サービス業へのシフトもそれほどではありません。現在、女性活用の政策がすすめられていますが、私はマクロ経済ではむしろ男性、とくに若年層や中年層の男性の労働環境に問題があると考えています(個別には女性の就業にさまざまな壁があるのでその改善は必要です)。この点については、円安で輸出量が増加すれば改善すると期待したのですが、実現しませんでした。 日本と韓国は似たような産業構造を持っています。しかしながら、日本は一歩先にサービス産業増大という転換や少子高齢化に直面しています。このニュースの背景には、そのような日韓における変化の違いがあります。 (岡山大学准教授・釣雅雄)