本家はイニエスタ率いる神戸のバルサ化をどう見たか?
リーガ・エスパニョーラの戦いで、そしてUEFAチャンピオンズリーグの舞台で、FCバルセロナと対峙するチームの気持ちが初めてわかった。ヴィッセル神戸の司令塔として、いまも愛してやまない古巣と初めて対戦したアンドレス・イニエスタ(35)が、思わず神妙な表情を浮かべた。 「ボールを追いかける、という状況が増える相手なので。僕たちはボールの後を走るけど、彼らもなかなかボールを失わない。バルサの一員としてプレーしていたときよりも苦しい展開というか、厳しい状況が多かったという印象です」 スペインの名門バルセロナを、ヴィッセルのホーム・ノエビアスタジアム神戸に迎えた27日のRakuten CUP。現時点におけるベストメンバーをそろえた前半の45分間で、ヴィッセル神戸の選手たちは目指しているスタイルの「本家」に圧倒された。 とにかくシンプルに、正確無比にパスがさばかれる。それでいてボールがピッチを走るスピードはヴィッセルのそれよりも数段速く、フリーの味方や、あるいはスペースへ走り込んでくる味方へ小気味よく、極上のリズムを奏でるようにつながっていく。 ヴィッセルがプレスをかけても、確立されたポジショニングのもとで、ボールは次の持ち主のもとへすでに向かっている。だからこそ、かつてバルセロナの中心で攻撃を差配したイニエスタを脱帽させながら「ボールを追いかける」と、あるいは「僕たちはボールの後を走る」と言わしめたのだろう。 それでも、世界のレベルを肌で感じられる千載一遇の機会で、挑戦中のスタイルを繰り出さないわけにはいかない。バルセロナが相手でも勇気をもってパスをつなぎ、ボールポゼッションを高める。ヴィッセルのあるプレーが、バルセロナをちょっとだけ驚かせている。 「このチームは後ろからボールをつなぐプレーを試みるチームだと思いましたし、ゴールキーパーの足元の技術も素晴らしかった」 前半をこんな言葉とともに振り返ったのは、バルセロナを率いて3シーズン目に臨むエルネスト・バルベルデ監督(55)だ。