不妊治療はワンチームで取り組む時代、婦人科医師・泌尿器科医・胚培養士など 悩めるカップルをサポートすることが重要
【精子が危ない 男性不妊症治療ガイドラインを読み解く】 「妊活は男女が同じ思いを持ち、協力して取り組むことが欠かせない」と順天堂大学医学部附属順天堂医院・男性妊活外来を担当する平松一平医師は話す。 「やはり不妊治療は女性側の身体的、肉体的な負荷があります。体外受精、顕微授精は大変有効性の高い治療ですが、ホルモン注射に伴う副作用や採卵時に疼痛を伴いますので、可能な限り1周期あたりの成功率を高めていくことが重要です」 そのためには男性の積極的な協力が必要だ。 「精子の質を高めることにより、良好な受精卵ができやすくなる可能性があると報告されています。背景を男性側にもしっかり理解してもらうことが、われわれの使命だと考えます。外来では客観的なデータをお示しし、時間をかけて丁寧に説明しています。当院では婦人科、泌尿器科の密な連携でカップルで安心できる環境を目指しています」 新たな「男性不妊症診察ガイドライン」には、里親制度や養子縁組についても触れている。 「男性側の治療で無精子症の可能性がある場合はTESE(精巣内精子採取術)を提案します。しかし、手術で精子が採取できるのは約3割。採取できなかった場合の選択肢は、なるべく事前にお伝えしています」 親になるには医療以外の方法もあり、また、親にならない選択肢も、もちろんある。 「妊活は挙児を得ることが目標となるため、治療中の当事者からは『先の見えないトンネルを進んでいるような気持ち』と、しばしば耳にします。そのため、医療者は不妊症に悩むカップルを包み込むようにサポートすることが重要。治療の中心である婦人科医師、そしてわれわれ泌尿器科医、実際に精子や卵子を取り扱う胚培養士。看護師、生殖カウンセラーや遺伝カウンセラーがワンチームとなり、良い方向に導いていけるよう取り組んでいます」 最後に、【精子力アップの5カ条】を平松医師に教えてもらった。 ①健康的な生活を心がける