【元警察官】が推奨!「自転車といっしょに車道を走る!」それなら自転車側の法規制も知っておくのが◯
自転車が相手の事故を起こしたらココに注目!
交通事故を起こしてしまったとき、「どちらに大きな非があったのか?」を確認する作業は欠かせません。この点は、事故の賠償額を決める際の過失割合を算定する際に大きく影響します。 クルマとクルマの事故でも、かならず「こちらの信号が青で、相手側からは赤だった」とか「向こうが一時停止を無視して突っ込んできた」など、自分の優位を確保するための情報を集めるでしょう。自転車との事故でも、同じ観点をもってください。 自転車も、クルマと同じで信号や一時停止を守らなくてはなりません。また、自転車は車道の左端を走行する義務があるので、右側を走行すれば逆走となり違反です。 さらに、2024年11月に法律が改正されて罰則が強化・拡充されたので、自転車側に次の2つの違反がないかもしっかり確認してください。 ●運転中にスマホなどを操作したり画像を注視したりといった「ながら運転」(最大1年以下の懲役又は30万円以下の罰金) ●血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上または呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを体内に保有する状態で運転する「酒気帯び運転」(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金) たとえば「事故が起きたとき、相手はスマホを見ながら運転していた」「救護の際、相手から酒の匂いがした」といった状況があるときは、自転車側の過失割合が大きくなる可能性があります。
「自転車のほうが有利」は古い? 裁判所の傾向
基本的に、お互いが動いている以上は一方だけにすべての過失があり、もう一方にはまったく過失がないといった事故形態はまれです。まして、交通弱者だという認識が浸透していた自転車側には、たとえ重い過失があったとしても「自転車だ」というだけで多少のアドバンテージが与えられていたことは否定できません。 ところが、この「自転車のほうが有利」という風潮に変化が生まれつつあります。 2024年11月、ある判決が報じられました。10歳の児童が運転していた自転車とクルマの衝突事故で、自転車側の過失100%という判断が下されたというものです。 この事例では、次の3点が判決に大きく影響しました。 1. 児童が赤信号を確認せずに交差点へと進入していたこと 2. クルマ側は青信号ながらも見通しが悪かったので徐行していたこと 3. 見通しの悪い交差点で赤信号を無視した自転車が飛び出すことを予見するのは難しかったこと 限定的な状況ではありますが、それでも少し前なら「車側にも少なからず気を付けるべき義務があった」という判断が下されたかもしれません。自転車の利用者にとっては「自転車だから」という理由だけでお目こぼしを受けられる時代は終わったと考えるべきでしょう。 とはいえ、クルマ・バイクの利用者にとってかならず有利になるというわけでもありません。たとえ自転車側の運転に非があったとしても、事故を起こしてしまえば相手を死傷させる危険が高いことは変わらないのです。 学校が冬休みに突入し、通学時間以外でも自転車の往来が盛んになっています。事故を起こさないように気を付けつつ、もし自転車が相手の事故を起こしてしまったときは、一方的に不利な状況に陥らないよう、今回挙げたポイントを確認してください。 レポート●鷹橋公宣 ◯鷹橋公宣(たかはし きみのり) 元警察官・刑事のwebライター。 現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、「note」では元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。