旧紙幣のタンス預金が「500万円」あります。脱税はしていませんが、早く使わないと「税務署」に指摘されますか?
2024年7月に発行が始まった新紙幣ですが、最近では手にする機会も増え、旧紙幣と新紙幣が財布に混在している人もいるでしょう。 しかし、旧紙幣のタンス預金が残っていて、「旧紙幣が珍しくなれば、使うだけでタンス預金を疑われるのでは」と不安に感じている人もいるかもしれません。そこで今回は、タンス預金の違法性や、旧紙幣として保管することの影響などを解説します。 ▼タンス預金していた現金を銀行に預ける場合、「税金」の支払いは発生するの?
旧紙幣・新紙幣にかかわらず、申告済みのタンス預金は違法にならない
最初に把握しておきたいポイントは、タンス預金は原則として違法にはならないということです。10年後に旧紙幣を使っても、それだけで犯罪性を疑われる可能性は低いと考えられます。 違法になるのは、相続税や贈与税などを逃れる目的でタンス預金をした場合です。例えば、相続したお金を申告せず、タンス預金として保管すれば、脱税にあたるようです。 なお、脱税目的のタンス預金は、国税局や税務署によって捕捉される可能性が高いとされます。 国税局と税務署には、税の申告と納税の情報を一元管理する「国税総合管理(KSK)システム」が導入されています。また、被相続人や家族の口座も10年前までさかのぼってチェックされるようです。資産、申告、納税の情報を照らし合わせて、不審な点がないかを確認し、必要に応じて税務調査が実施されます。 申告をしていないタンス預金があることが発覚すると、追徴課税が発生したり、懲役刑を科されたりする可能性があるようです。国税庁の「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、令和4年度には贈与税に関する実地調査が2907件行われ、79億円が追徴課税されました。
将来的には一部の機械が旧紙幣を認識しなくなる場合も
タンス預金自体に問題はありませんが、旧紙幣のまま貯金することにより、将来的に不便が生じる可能性はあります。具体的には、一部の機械で旧紙幣が認識されなくなる場合などが考えられるでしょう。 例えば、あるコンビニのセルフレジと釣銭機では、2世代前までの紙幣を利用できないようです。同様に、福沢諭吉の1万円札、樋口一葉の5000円札、野口英世の1000円札に対応できない機器が現れる可能性もあります。 「それなら今のうちに新紙幣に換金しておこう」と考える人もいるでしょう。しかし、金融機関で一定額以上を取引すると、マネーロンダリング(資金洗浄)などの観点から取引目的を確認される場合があります。マネーロンダリングとは、犯罪によって得たお金を他人名義の口座に入金することで、資金の出どころを紛れさせる行為のことです。 もし不審な点があると判断されれば、所管行政庁に届け出られる場合があります。合法なタンス預金であればトラブルに発展することはありませんが、不審がられることを回避したい場合は、少額ずつ換金した方がいいでしょう。 なお、旧紙幣を認識できない機械が増えることはあっても、旧紙幣が完全に使えなくなるわけではありません。なぜなら、日本銀行法第46条第2項において、紙幣は無制限に通用することが定められているためです。 日本銀行法第46条第2項 ●前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。 「旧紙幣が使えなくなる」などとうそをつき、現金をだまし取る詐欺もあるようなので、ご注意ください。