セブンMBOに米アポロが出資を検討、最大1.5兆円規模-関係者
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングスの創業家による経営陣が参加する買収(MBO)計画を巡り、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社のアポロ・グローバル・マネジメントが出資を検討していることが分かった。最大1兆5000億円の出資になる可能性がある。
複数の関係者が明らかにした。現在計画されている案では、アポロを含めて伊藤忠商事、セブンの創業家を中心に出資額は4兆円規模に引き上げる方向だ。これにメガバンクなどからの融資を合わせて9兆円規模の資金を集めてMBOに臨む計画となる。
セブンの創業家が5000億円、伊藤忠は1兆円超の株式(エクイティー)出資し、アポロは優先株で最大1兆5000億円、その他にファンドなども優先株で参加する方向で調整を進めている。
カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・ クシュタールの買収提案に実質対抗する形で浮上したMBO計画は、巨額資金の調達が高いハードルとなっていた。大口出資者の確保で資金調達のめどがおおむねたったことから、実現に向け大きく進むことになる。当初の想定より銀行からの借入金も圧縮し、リスク低減も見込める。
アポロ広報担当はコメントを控えた。報道を受けてセブン株は上げに転じ、一時前日比7.4%高の2550円を付けた。SBI証券の田中俊シニアアナリストはMBOの実現可能性が高まるほか、クシュタール側の買収額引き上げもあり得るとの期待で、株価が押し上げられたと分析。「しばらく株価にポジティブに効くだろう」と話した。
MBO案の現実味が増したことで、これまでセブンの同意を前提に買収を進める意向を示してきたクシュタールの次の打ち手にも関心が集まる。
ただ、関係者の1人によると、詳細な出資形態や出資後の議決権比率、非公開化後の取締役の構成など、詰めるべき点が残っているという。また、依然として銀行からの借入額は数兆円規模と、非公開化後のセブンには重い返済負担がのしかかる。