閲覧注意の目玉ゼリー、脳みそケーキ、指クッキー…注文殺到「グロすぎるお菓子店」を立ち上げた女性店主の来歴
■ひとり娘に「エイリアン弁当」を作ったら… それからしばらくの間、両親のサポートを受け、清掃のパートと子育てに専念していたナカニシさんに転機が訪れたのは、娘が3歳になった2013年。保育園に通っていた娘から、「キャラ弁を作ってほしい」というリクエストを受ける。ナカニシさんは考えた。 「娘の弁当を作る生活は、長ければ高校生まで続く。もしキャラ弁を作って喜ばれたら、毎回求められるかもしれない。それは面倒だから、ちょっと先延ばしできないか……」 そこで、一計を案じた。 「保育園に持っていく前に、うちで怖いお弁当を作って、諦めてもらおうと思って(笑)。うちのキャラ弁はこんなんやで、これでもいいんやったら作るけどっていう感じで」 手先が器用なナカニシさんが、腕によりをかけて作ったのが「エイリアン弁当」だった。その弁当を作っている時に、気が付いた。「これ、めっちゃ楽しい!」。娘に見せる時も、怖がらせるという当初の目的を忘れて、「こんなんできてんけど、見てみて!」というテンションだったという。 いざ、実食。弁当箱を開けた娘は驚くでもなく、真顔で「ありがとう」と言った。ナカニシさんが「どうする? こういうの作る?」と尋ねると、一言。 「いや、ええわ」 期待した反応……のはずだったが、ナカニシさんの胸の内には新たな火が灯っていた。 「もっとグロ弁を作りたい!」 グロ弁とは、グロい弁当のことである。保育園に弁当を持参する日は月に一度しかないため、自分のために作り始めた。 「娘が寝た後に弁当を作って、仕事が終わって帰ってきたら自分で食べてました。その後すぐにスーパーに行って、これは髪の毛によさそうとか、唇によさそうとかグロ弁用の食材を買って、また夜に作るということを繰り返していましたね」 凝り性のナカニシさんが作るグロ弁は、どんどん進化していった。例えば、肌の色を気味悪くするために、アボカドをすり潰したものを白米の上に塗る。時間が経つと黒ずんできて、理想の色に仕上がるそうだ。最初はハムを使っていた唇も、よりリアルにぬめり感を出すために塩辛を採用した。 グロ弁をブログに載せると次第に読者が増え、コメントがつくようになった。それが嬉しくて、ますます力が入った。 ■「もっとリアルに!」という探求 「私、なにしてんのやろ……」と我に返ったのは、グロ弁を作り始めて数カ月経った頃。見た目を重視した結果、日に日に弁当が不味くなっていることに気づいたのだ。わざわざ不味い弁当を作っている自分に疑問を抱き、急速に熱が冷めたナカニシさんが次に目を付けたのが、日持ちがするお菓子だった。