柔道・野村忠宏の引退会見全文4「未練はないです」
オリンピックの女神様に愛してもらったのかな?
読売新聞:2つ目っていうのは、もしほかの選手に比べて自分が3つ金メダル取れた、何か人に勝ってたものがあるとすれば、それはご自身なんだったと思われるのかっていうのを教えていただけたら。 野村:なんでしょうね。1つだったらね、もう実力って言えるけどね。やっぱ3大会ってなれば、もちろん実力っていうのは必要だけど、運っていうのも必要だろうし、そのときの巡り合わせっていうのも必要だろうし。うーん、なんでしょうね。 それはなかなか自分でも思い当たる節もないしね。やっぱりこんだけ努力した、で、この努力したっていう言葉は簡単だけど、やっぱり世界中、4年に1回のオリンピックで金メダル取るんだっていう強い思いも、世界中の柔道家が努力してるわけで。ただ、現実的にはそのメダルを手にできるのは1人。で、その1つのメダルっていうのを、この3大会においては自分が手にしてきた。センスがあったからとか努力したからとか、その一言だけでは語れないものがあるんですけども、本当になんでしょう。 常に自分はなんでも練習したような選手でもないし。ただ、オリンピックに関して言えば、本当にオリンピックの女神様に愛してもらったのかなって。そう言うしかないですね。 朝日新聞:野村忠宏という、柔道、本来2世、3世、同じような柔道家をわれわれも見たいと思いますし、育ててほしいと思うんですが、簡単ではないと思うんですが、これだけは大事にしてほしい。こういうことをぜひ積み重ねてほしいという、野村忠宏という柔道家をもしまた生まれるとしたら、大事にすべきことはなんでしょうか。 野村:大事にすべきこと。 朝日新聞:これだけは取り組んでほしいとかですね、これを大事に日々やってほしい。 野村:うーん。そうですね。レベルによるんですけどね。本当に子供のとき、中学、高校、大学、社会人。そのときによって、やっぱり柔道との向き合い方とか、大切にするべきものっていうのは変化していくと思うし。子供のころっていうのは勝負、勝ち負け、勝つ喜びであったり負ける悔しさっていうのを知る必要はあるけども、そこに固執するんではなくて、やっぱり柔道っていうのの楽しさを知るっていう、子供のころはそれを大切に。だからそういうものを感じてほしいし、競技としてやっていく中で、うーん。 やっぱりそれでも勝ったり負けたりする。うん、ただ、やっぱり、でも負けっていうのを、負ける、特にね、勝つ、勝つっていうので大きな自信にはなるけど、それよりも負けを、負けたときにその負けを生かせる選手。言葉で、課題が見つかりました、反省点が見つかりました。 言葉だけじゃなくて、本当にその負けたことであったり悔しさであったり、それを生かせる選手として、ここっていうね、勝たなきゃいけない。本当に勝たなきゃいけないときにその、ね、負けた悔しさであったり、見つけた課題っていうのを生かして、ここぞっていうときに本当に勝てる選手。うーん。ね、だからもう、自分はまだね、自分のやり方はそうだったから、だから。悔しさで強くなる選手。