イラン核で大枠合意 オバマはなぜ「歴史的」と評したか
4月2日にイランとP5+1(6か国)との間でイランの核開発をめぐる問題に対処する原則が合意されました。オバマ大統領は、これを歴史的な合意と呼びました。なぜ、この合意が歴史的なのでしょうか。
ウラン濃縮制限と経済制裁解除
P5+1とは具体的には安保理の五つの常任理事国とドイツです。この五つの大国は、「常任」が英語で「パーマネントpermanent」ですので、その頭文字を取ってとってP5と呼ぼれます。そして、それにドイツを加えるとP5+1との略語になります。 2002年にイランが秘密裏に核開発を行っている事実が暴露されて以来、国際社会とイランの間に対立が生じていました。国際社会の方は、イランの核能力の軍事利用を懸念しています。P5+1の方は、様々な経済制裁措置を実施してイランに圧力をかけてきました。逆にイランは、核開発は平和利用のためであり、それは全ての国の権利だと主張してきました。 イランの核開発を止めるために、イランの核関連施設の空爆という選択にさえ、アメリカやイスラエルは言及していました。中東で唯一の核兵器保有国であるイスラエルの立場は特に強硬です。戦争の危機さえ語られていたわけです。 2013年にイランで保守穏健派とされるローハニー大統領が当選して以来、イランとP5+1の交渉が動き始めました。そして今回の大枠の合意に至ったわけです。 その主な内容は、イランの核関連施設への厳しい査察の受け入れ、プルトニウム製造設備の稼働の停止、ウラン濃縮のために稼働する遠心分離機の数の制限などです。これらの制限によって、仮にイランが核兵器の製造を開始したとしても、必要な核物質の獲得に少なくとも1年はかかるようになるとアメリカ政府は説明しています。こうした制限は10年間続きます。引き換えにP5+1の方は同国に対する経済制裁を撤廃します。これが大枠です。その詳細に関しては、6月末までに詰の交渉が予定されています。