イラン核で大枠合意 オバマはなぜ「歴史的」と評したか
とは言うものの、この合意によってアメリカとイランが突然に友好国になるというわけではないでしょう。確かにイラクにおいては「イスラム国」と戦うという立場ではアメリカとイランは同じ側にいます。しかしシリアにおいては、両国は対立しています。イランはアサド政権を支援しています。ところがアメリカは、アサド政権に反対する自由シリア軍への援助を行っているからです。 こうした例が示すように、直接の戦争の可能性は低いものの、両国が全ての点で協力できる状況ではありません。アメリカとイランは対立と協調の入り混じった関係を今後は構築して行くでしょう。それは、現在のアメリカと中国の関係を想起させます。 (放送大学教授・高橋和夫)
------------------------------------------------------ ■高橋和夫(たかはし かずお) 評論家/国際政治学者/放送大学教授(中東研究、国際政治)。大阪外国語大学ペルシャ語科卒。米コロンビア大学大学院国際関係論修士課程修了。クウェート大学客員研究員などを経て現職。著書に『アラブとイスラエル』(講談社)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会)、『イスラム国の野望』(幻冬舎)など多数