小泉今日子&小林聡美、50代の幼なじみ2人の日常をユーモラスに描いた友情物語「団地のふたり」
――50代で独身で実家暮らしとなると現実世界では周囲からあれこれ言われてしまうようなシチュエーションもありそうですが、そういったプレッシャーはどうやってはねのければいいと思いますか。 小泉 「はねのける必要なんてないと思って生きているのが、ノエチとなっちゃんなのかな。幼い時から同じ団地に住んでいて、みんな知っている。ノエチが離婚して出戻ったという事実は、一度、その時に団地中に広まって、その洗礼は受けているんです。その洗礼を受けてから、もう20年以上経っているから、今は静かな海って感じ。その凪に至るまでのザワザワは経験済みなんです」 小林 「なっちゃんは結婚はしてないけどね…」 小泉 「なっちゃんは『あの人、何の仕事をしているんだろうね。スーツを着ているの見たことないよ』みたいに言われているんだよ」 小林 「そう言われていても、自分がそれでいいと思っていたら気にならない。言ってるなみたいな、あなたには分からないでしょみたいな」 小泉 「受け入れちゃえばいいんじゃない?」 小林 「受け入れちゃうの?」 小泉 「ノエチは大学教授じゃなくて非常勤講師なんだけど、団地のおばちゃんたちからは大学教授、大学教授と言われて、何度も『非常勤講師なんですよ』と説明しても直らないから、しょうがないなという感じで受け入れちゃう。そういうシーンが結構あるんですけど、人に何かを言われる以上に、自分が楽しいことだとか、持っている信念があれば、それでいいのかなと達観している55歳の2人って感じで描かれています」 小林 「それですね! 自分が楽しいと思えることがあれば、周りの人にどう言われてもいいのではないでしょうか」 小泉 「きっと、若い頃の方が大変だよね。50代は静かな海ですよ」
――お二人は何度か共演経験があると思いますが、今回は幼なじみという役どころでしたね。 小泉 「以前共演したドラマで、聡美さんが私のお兄さんと結婚して親戚になるみたいな設定はあったよね。幼なじみではないけど」 小林 「あった! もう、友達関係以外考えられないね。今作は幼なじみということで、大人ならではの無意識に気配りしちゃったりとか、そういうことをしなくても本当に楽な関係性でいられる大人同士で気が楽でした」 小泉 「私と聡美さん、実年齢も同じ学年なんですよ。だから予備知識がなくても、曲名とかが出た時に打ち合わせをしなくてもパッと話が合わせられるみたいな。幼なじみ感は元々持っているかもしれない。それは役を作っていく過程とか台本をどう面白くしようかなという上でストレスなくできました。実際に出会ったのは16~17歳だったんです。それから40年くらいのお付き合いなので幼なじみに近い関係かもしれないです」 小林 「10年置きぐらいに共演してきたよね」 小泉 「初めての作品が10代で、その後、20代、30代、40代、50代とちょっとずつ共演する作品が増えてきたね」 ――だからでしょうか。お二人のやりとりがすごく自然で、本当に仲良さそうな関係性がにじみ出ていました。 小泉 「でも、私たちも知り合いではあるけれど、しょっちゅう会ったり、普段からメールや電話をしたりとかはないです。お仕事をしている時は楽しいけれど、役は役だから。お互いのプライベートは知らないことが多いです」 小林 「同世代というのもあるから息があったのかも」 小泉 「子どもの頃に見ていた世界とか経験してきたことが同じでも、共有できる人とできない人がいるけれど、聡美さんとは共有できてラッキーだった」 小林 「好きなことや嫌いなこと、これはちょっと恥ずかしいぞということ、あと、趣味だったりも、多分、合っていたんだと思います。これがバカっぽくて面白いとか、それを面白がる人間とか、そういうところのセンスが近いから演じていて息が合っていたなと思います」