米アマゾンの限定セールで注目集めた旅行販売、ふたたび飛び交う憶測と、サプライヤーの狙いとは?【外電】
Amazon会員向けプライムデーイベントで過去最高の売上を記録したアマゾンは、旅行関連の販売でも注目を集めた。カーニバルクルーズ、トリップアドバイザーの体験予約ビアター、サウスウエスト航空など有名ブランドが旅行商品を提供したが、アマゾンが今後、旅行をどのように扱うのかまだ見えてこない。 米フォーカスライトリサーチのシニアアナリスト兼創設者であるロレイン・シレオ氏は「アマゾンは消費者の購買習慣を熟知しているうえに、優れたテクノロジーを持っているため、いつもアマゾンの次の展開について憶測が飛び交っている」と話す。 旅行についても、アマゾンがいつ、どのように旅行分野に参入するのか、そしてそれが成功するのかどうか、何年も前から議論されてきた。これから、どうような展開を見せるのか、業界の意見はさまざまだ。 旅行は非常に複雑だ。シレオ氏は「アマゾンが本当にパーソナライズできるようになるまでは、旅行の販売から消費者が得られるものは多くはないだろう」と話す。
旅行業参入の機会を逃したアマゾン
アマゾンは2010年代に「Amazon Local」と「Amazon Destinations」で旅行業界への参入を試みた。しかし、現在、そのサービスは廃止されている。2019年にはインドでフライト検索・予約を提供する目的でClearTripとの提携を開始した。 観光産業やホスピタリティ産業のテクノロジーは、機能不全の古いレガシーシステムだけでなく、次世代アプリとの共存、有望なAIやブロックチェーンの実装など、多くの流動的な部分から成り立っているが、旅行業界コンサルタントのマックス・スターコフ氏は、「アマゾンは、そのオンライン旅行市場の複雑さを過小評価していた」と分析する。 また、「アマゾンには小売業の優れた能力と革新性はあるが、旅行在庫の管理方法をまったくわかっていない。書籍や靴下とは異なり、旅行在庫を効率的な方法で自動倉庫に保管することはできない」と続ける。 スターコフ氏は、アマゾンはオンライン旅行予約(OTA)大手のオービッツやトラベロシティを買収しなかったことで、旅行業界に参入する「唯一のチャンス」を逃したと考えている。オービッツとトラベロシティはどちらも、2015年にエクスペディア・グループに買収された。 スターコフ氏は、「アマゾンが時価総額185億ドルのエクスペディアを買収しない限り、旅行業界に有機的に参入するとは思えない。一方で、多くのホテル経営者は、現在、数社に独占されている市場に別のプレーヤーが現れるの待ち望んでいるのも事実だ」とも話す。