【試乗】ドゥカティ新型「ムルティストラーダV4S」海外試乗インプレッション! どんな道も駆け抜ける万能プレミアムツアラーがさらなる進化
MotoGPやWSBKを席巻するドゥカティはレースイメージが強いブランドだが、一方ではアドベンチャーツアラーの分野でも存在感を増している。その旗艦モデルとなる最新版「ムルティストラーダV4S」の国際メディア試乗会がイタリアで開催された。モーターサイクルジャーナリストのケニー佐川がレポートする。 【画像】新型「ムルティストラーダV4S」のスタイリングやディテールをギャラリーで見る(29枚) 写真:DUCATI 文/Webikeプラス ケニー佐川(佐川健太郎)
【マシン解説】
────────── 自動車高低下機能やウェットモードでさらに快適に ────────── 電子制御化された新世代のムルティストラーダが登場したのは2010年。スーパースポーツ、オフロードバイク、長距離ツアラー、街乗りバイクの4つの異なるカテゴリーの特徴を兼ね備えた「4バイクス・イン1」のコンセプトを掲げた万能マシンとして華々しくデビューした。熟成を経て2021年には満を持してV4エンジンを搭載した完全新設計モデルへと移行。そして今回2025年モデルでは数多くの新機能が追加され、さらなる進化を遂げている。 最高出力170psを発揮する通称「V4グランツーリスモ」と呼ばれる水冷90度V型4気筒1158ccエンジンは従来モデルを踏襲しつつ、エンジン休止システムを強化。従来のアイドリング時だけでなく低回転時にも前方バンクの2気筒だけを稼働させることで低燃費走行を実現。エンジンの熱対策も改善され、より効率的で快適な走行が可能になった。車体も進化した。アルミ製モノコックフレームはスイングアームピボット位置を1mm上げることで加速時やタンデム時のハンドリングが向上。リアサスペンションもプリロード量を8mm増やすことで荷物積載時などの荷重変化にも幅広く対応できるようになった。 電子制御の面でも2025年モデルではさらに多くの技術が導入された。大きなトピックとしては、停止直前に車高が自動的に下がる「オートマチック・ロワリング・デバイス」機能が追加されたことだろう。これにより足着きが向上しバイクが安定して停止できるようになった。また、新たに「ウェット」モードが追加され雨天時の走行を安全にサポート。 さらに前走車を自動的に追尾する「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」や、バックミラーの死角に入ってきた車両を検知する「ブラインド・スポット・ディテクション(BSD)」に加え、前方衝突警告機能「フォワード・コリジョン・ワーニング(FCW)」も追加されるなど主に安全性や快適性、扱いやすさの面で大きな進化が見られる。