京都発「履物関づか」が壊れかけの産業に新風 「マメ」や「アーツ&サイエンス」と協業するまで
WWD:ギャラリースペース岩倉AAを併設した。
関塚:簡単にいうとフックを作っている。ギャラリースペースと履物屋の間は行き来しやすいように扉は作っていない。世間では履物は着物の付属品で普段見たり、履いたりしないものだから買う人のコミュニティが小さい。コミュニティを広げるために履物に合うアパレルや、僕の履物と同じような“ライン”で美しいと思える器や置物などを置くようにしている。店内には古いものや器などさまざまにあるが、それが美しいと思える人が履物を履いたら気に入ってくれると思えるものをセレクトしている。僕自身、脳を半分ずつに仕事をした方がリフレッシュできる、というものある。
若者に支持された理由、「何も考えずに恰好いいものを『いい』と言える」
WWD:若者に支持される理由をどのように分析しているか。
関塚:僕自身が若者が好きだから(笑)。若者は未来しかないし、かわいがっている子は多い。フットサルチームを作っていて、メンバーはみんなお客さん。
WWD:履物が受けた理由は?
関塚:一周したからだと考えている。というのは、今の若者は履物が和装のモノであるという認識があまりなくて、「なんか格好いいじゃん。洋服と合わせてみよう」と単純に恰好いいものを「いい」と言える。例えば40代は「とはいえ草履でしょう?和装のものを洋服に合わせるなんて」という人は多い。
WWD:「関づか」の履物は高価だが、お金貯めて買いにくる?
関塚:初めてボーナスが出た時に友達3人で来てそれぞれがオーダーしていくといった具合。会社の友達を連れて来て、誇らし気持ちで買ってくれていてその様子もほほえましい。日本の文化に興味があるけど、生活もモノも西洋化している中で、日本人としてのアイデンティティを表現するときにちょうどいいのかもしれない。扇子でもキセルでも着物でもなく履物なら取り入れやすいのではないか。
WWD:想定していた?
関塚:狙ってはなかった。若者からの指示を加速したのはセレクトショップや「マメ」との協業だと思う。