【40代・50代「更年期治療」をアップデート!⑦】更年期のイライラ、うつなどのメンタル症状改善には、何をしたらいい?
更年期の症状で意外に多いのはメンタル系のトラブル。体に症状がないと、心の不調が女性ホルモンの減少によるものだと気づかないことが多いものだ。閉経前後にメンタルが落ちていると気づいたら、まず何をすればいい? 更年期医療のスペシャリスト、産婦人科専門医の吉形玲美さんに伺った。
幸せホルモン「セロトニン」を増やすためにしたいこと
「こんにちは。産婦人科専門医の吉形玲美です! 更年期の不調といえば、心の問題をスルーするわけにはいきませんね。 イライラする、ゆううつ気分、落ち込み、不安感・焦燥感、やる気が出ない、意味もなく悲しくなる、何も楽しめない…など、更年期のメンタル症状は人によって違います。どれもQOLを下げてしまうばかりで、放置していいことは何もありません。 心の不調が新たな体の不調として表れたり、逆に体の不調がメンタル症状を招くというように、負のスパイラルに陥るのもよくあること。 更年期に『私、メンタル弱ってるな』と感じたら、我慢したり放っておかないで、まずは婦人科で相談することをおすすめします。それが女性ホルモンの低下によるものであれば、その人に合った何らかの治療はできますし、婦人科から心療内科などへの紹介もできます。 私の外来でいうと、10人中イライラ系が7人、うつうつとした人が3人。イライラ系のほうがとても多い印象です。うつっぽい人は、心療内科に行かれているから婦人科では少ない気がするのでしょうか? もしくは、うつうつ系の人は外に出ることも億劫で引きこもっているためかもしれません」 どちらにしても、メンタルの不調を軽くするためにやってほしいことは、ずばり“運動”だと吉形先生。 「運動で増えるホルモンにはいろいろありますが、幸せホルモン(*)と呼ばれる『セロトニン』『エンドルフィン』『ドーパミン』の分泌を促す作用がいちばん注目してほしいところ。 *「幸せホルモン」はあくまで俗称です。ホルモンとは各内分泌臓器から分泌されて全身に送られる生体内情報伝達物質ですが、セロトニン、エンドルフィン、ドーパミンはおもに神経伝達物質として働く物質です。 幸せホルモンの中でも、特にセロトニンは脳の興奮を抑えて心身をリラックスさせ、精神を安定させる効果があります。セロトニンは女性ホルモンによっても調整されているので、更年期に女性ホルモンが減ればセロトニンも不足する。そのせいでイライラや不安感を感じやすく、眠りの質が低下したりやる気や集中力の低下、気分の落ち込みなどにもつながるんです」