大手が撤退した国産アーチェリーを復活 町工場2代目が磨く「小さな会社だからこそ」の強み
後継ぎは親族にこだわらず
西川さんが入社したころは、取引先から求められた製品を作り納期までに届けることが仕事でした。しかし、今では自社製品やオーダーメイドの省力化機械を作るようになり、売り上げに占める治具の割合は50%近くに減っています。 現在、治具の売り上げ減少をカバーしているのが、新規開発の機械受注です。医療用など付加価値の高いオーダーメイドの機械を受注し、設計から部品製造・組み立てまでを一貫して請け負う事業の比率を高めています。 「事業内容が変わった今、完成品メーカーとしての意識を社員に求めるようになりました」 今後は超小型燃料電池モビリティーを事業の柱に育てたいと考え。専用のラボもつくることにしています。「3年後ぐらいには、完成品メーカーに脱皮したいです」 西川さんは、後継者は親族にはこだわっていません。大学院で精密機械工学を専攻する24歳の息子がいますが、精密機械工学を専攻したのも自らの意志といいます。 「完成品メーカーに脱皮したら事業環境が変わるので、息子が適任とは限りません。継ぎたいと思う社員を増やしたいし、そういう人材がいれば厳しい修練を課すことになります。後を継いだら、社名変更なども含めて好きなように経営をしてもらえばいいと思っています」
フリーランスライター・大澤裕司