ついにサケの密漁まで「闇バイト事件」に…では“おとり捜査”が導入されたら「犯行グループを一網打尽にできるのか」 元刑事に尋ねてみると
政治も動いた
連日のように報道され、警察庁はじめ各警察本部や自治体などで「闇バイト」への注意喚起が続けられているが、11月25日、自民党の高市早苗・前経済安全保障担当大臣の言葉が話題を集めた。長野県松本市の講演で、 「命にかかわるような事件が次々に起きている。警察がさまざまな捜査手法を使えるようにしたい」 と述べ、警察による通信傍受の強化や、「(警察官が身分を偽造する)仮装身分捜査の導入を検討すべきでは」と問題提起したのである。 「高市さんは自民党の『治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会』の会長も務めており、一連の闇バイト事件に対し、対策案を提示する予定になっています。ただ、この発言が思わぬ余波を生んでしまいまして…」(政治部記者) 警察の通信傍受は要件を満たせば一部では認められているが、制度の拡大はプライバシー侵害などの問題を生む。また、仮装身分捜査は日本の法体系では禁じられているという。 「高市さんは、その辺りも言及した上で、『よく議論しないといけない』と述べたのですが、ネットなどで『通信傍受の拡大か』とか、仮装身分捜査については『おとり捜査が導入されるのか』などと取り上げられ、テレビ番組でもその賛否が紹介されたのです」(同) 高市氏は自身のXで「自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会で議論中の対策提言案(役員会で整理している段階の素案)には、『通信傍受の強化』も『おとり捜査』も入っていません」とした。また、同氏は「おとり捜査」について、平成16年7月12日の最高裁第一小法廷決定を引く形で、「こう思う」と紹介している。 「捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を行うように働き掛け、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するもの」 「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」は5日、警察官が身分を秘匿して闇バイトに応募し、犯人グループに接触する捜査手法の導入に向け、環境整備を求める提言を取りまとめた。 果たして、闇バイト事件に有効な捜査手法となるのだろうか。