ついにサケの密漁まで「闇バイト事件」に…では“おとり捜査”が導入されたら「犯行グループを一網打尽にできるのか」 元刑事に尋ねてみると
サケの密漁まで
闇バイト事件が止まらない――。 埼玉県所沢市で起きた強盗致傷事件では、被害金を自身の口座で扱っていた女(26)が逮捕された。これで指示役、リクルーター役、そして実行役の他に「資金管理役」がいたことが判明した。 【写真をみる】闇バイト事件で指示役からの通信手段で用いられるアプリ「テレグラム」「シグナル」の実際の画面
茨城・ひたちなか署では、闇バイトを拒否した10代の男性を脅したとして、東京都内の会社員(19)を脅迫の疑いで逮捕。宮城県警では「県内の高校生や大学生の間で闇バイトの募集がある」という複数の相談をもとに18歳の男性2人からスマートフォンのSIMカード38枚を、携帯電話会社の許可を得ずに買い取ったとして東京都三鷹市の男(24)、新潟市内の大学生(20)、仙台市内の無職男(23)らを携帯電話不正利用防止法の疑いで逮捕した。熊本県警では指定暴力団幹部に勧誘役として雇われた男(19)が県内の高校生にSNSで闇バイトを勧誘していた事件も摘発されている。 「北海道警札幌豊平署では、既に強盗致傷や窃盗で逮捕された闇バイトの実行役の男(25)が、債権回収のバイトにも手を染めていたことが分かりました。債務者の住むアパートの玄関にスプレーで『金返せ』と書き、郵便ポストに“(親族を)しっかり守ってやれよ”と危害を加えることをほのめかすメモを投函したことから、脅迫などで3度目の逮捕となりました」(全国紙社会部記者) 同じ北海道では、なんとサケの密漁のために闇バイトで集まった男たちが“御用”になった。北見方面斜里署はベトナム国籍の男4人と、住所不定・無職の男(32)を水産資源保護法違反(密漁)の疑いで逮捕した。容疑は10月2日の午後11時過ぎ、斜里町の海別川で許可なくサケを29匹獲ったというもの。 秋から冬にかけて、北海道の川にはサケが産卵のため遡上してくる。斜里町は世界自然遺産に登録された知床国立公園区域と共に、水産資源に恵まれたオホーツク海を漁場とする「サケの水揚げ日本一」としても知られる。 「斜里署管内ではこの時期になると毎年、密漁対策のために特別な体制を組んでいます。今回も深夜の警戒中に密漁現場を押さえ、逮捕したものです。もともとサケの密漁は暴力団関係者の資金稼ぎや釣り人が興味本位でつい、という事例が多かったのですが、今回のように組織的に密漁を企てるという事例は珍しいです」(捜査関係者) 密漁は人目を避けるため、夜間に行われることが多い。あらかじめサケの遡上ポイントを確認した上で行うというが、 「同じように遡上ポイントをよく把握しているだけに、場所によってはヒグマが出る可能性があります」(同) 闇バイトとはいえ、まさに命がけである。現在までに5人が逮捕されているが、現場には10人ほどいたと見られ、同署が引き続き行方を追っている。事件を受け同町では、ドローンを使ったパトロールを行っている。