方向転換のスキルを磨け。「怠け者の天才」から学ぶ自分らしく生きる5つの指針
2. 今の自分、今の場所から始めてもよい
私はこれまでに多くの時間管理の本を読んできました。そしてたくさんの手帳を購入してきました。これまで何度も、1月になるたびに未来が明るくなり、物事を改善し達成できると強い楽観的な気持ちで臨んできました。しかし、何かを極めることへの偏った執着を持つのと同じように、未来への偏った執着を持つこともあります。 自分の未来を大切に思い、計画を立て、それが将来何かしらの形になるよう今から行動することは、素晴らしく立派なことです。しかし、今の自分と今いる場所から始めてもよいのです。 未来を考えることなく、今日にだけ集中してもいいのです。そうすれば、さきのことを考えず、今日だけに役立つ決断を下すことができます。すべての選択、仕事、習慣が未来の夢のためにある必要はありません。未来に繋げることもできますが、そうする必要はないのです。 私が30代前半で、まだ小さな子どもが二人いた頃に、未来を見据えて努力することの難しさに直面したことを覚えています。 その頃の私は、ガチガチの時間管理にハマり、未来を設計するためにできる限りの情報を集めようとしていました。そのメッセージは、私が自分の人生を完全にコントロールしているかのような誤った安心感を伝えてくれました。 皆さんが小さな子どもたちと丸一日過ごし、その翌日も、さらにその次の日も、そして何日も続けて過ごしたことがあるかわかりませんが、何が起こるか、ほとんどコントロールできません。 もし毎日の目的が、理想的で目に見えない未来に向けて積み重ねていくことなら、何ヵ月、何年にもわたって多くの人々(特に女性)が経験する普通の日々は、物足りなく感じてしまうでしょう。もしそれが自分の身に起こった場合、自分の人生を振り返ったときに、深い喪失感や不満、そして不十分さを感じることがあるかもしれません。 偉大さと見えない未来を追い求める中で、私たちは自分の人間性を置き去りにしてしまいがちです。自分の身体や家族、精神的な健康、そして平穏に対するニーズを無視してしまいます。そして休息や遊びを優先しようとしません。 すべての瞬間を最適化できていないと、自分たちを怠け者だと呼びます。私たちのより良いバージョンは未来にあり、今の自分ではなくその人に焦点を当てるべきだという潜在的な考え方があります。 そうした生産性重視の価値観では、親切さや忍耐、そして今の自分と今いる場所を大切にした合理的な選択で満たされ満足した人生は、例外と見なされます。それは、妥協や諦めだとされるのです。あらためて偉大さを追求するためのエネルギー、資源、規律、そしてモチベーションが十分に整うまでのつなぎに過ぎないと考えられています。 けれど私は、今の自分と今いる場所から始めてもいいと信じています。それは、二の足を踏んだり、言い訳をしたり、何か実際の仕事の前に必要性に迫られてするのではなく、すべての基盤としてそうできる、と信じています。そして、今の自分と今いる場所から始めると、新たな目標が生まれるはずです。