ホンダ「オデッセイ」2代目が背の低いスタイリッシュなミニバンに磨きをかけ212.5万円~登場【今日は何の日?12月2日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日12月2日は、乗用車のような車高の低い新世代ミニバンとして大ヒットしたホンダ「オデッセイ」が初めてのモデルチェンジを行い、2代目が発表された日だ。2代目は、オデッセイの魅力である乗用車のような走りと扱いやすさ、広い室内空間をレベルアップさせた。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型オデッセイのすべて ホンダ2代目オデッセイの詳しい記事を見る ■キープコンセプトでオデッセイのコンセプトを磨いた2代目 1999(平成11)年12月2日、ホンダは乗用車感覚の背の低いミニバンとして大ヒットした「オデッセイ」の2代目を発表(発売は、直4搭載車が12月3日、V6搭載車は翌年1月21日)。基本的には初代のキープコンセプトだが、乗用車のような走りに磨きをかけ、快適性と使い勝手を向上して人気を加速させた。 RVブームに“クリエイティブ・ムーバー”で対抗したホンダ 1980年代後半から始まったRVブームで、三菱「パジェロ」やトヨタ「ハイラックスサーフ」などオフロード4WDが大きな人気を集めていた中で、RVを持たなかったホンダは急激に販売シェアを落としていった。 そのような中でホンダは、独自に“クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)”というコンセプトのFFベースの新型モデルを市場に投入した。クリエイティブ・ムーバーは、実質的にはRVと同じような位置付けだが、具体的には室内空間に優れ、走行中でも停車中でも楽しめるクルマを指す。 その第1弾が、1994年にデビューしたオデッセイだった。ちなみに、第2弾はオフロードも走行できる都会派SUV「CR-V(1995年~)」、第3弾は5ナンバーサイズながら広い室内空間と快適性を実現したミニバン「ステップワゴン(1996年~)」、第4弾は車高が高くユーティリティに優れた「S-MX(1996年~)」である。 背の低い乗用車感覚のミニバンという新発想の初代オデッセイ 新しいタイプのミニバンとしては、1990年にそれまでの商用車ベースのワンボックスタイプのワゴンとは異なる、ラウンディッシュなスタイリングが特徴のトヨタ「エスティマ」が“天才タマゴ”のキャッチコピーで登場して大ヒットした。 ホンダは、エスティマに対抗する形で1994年にステーションワゴンの背を少し高くしたようなスタイリッシュなミニバンのオデッセイで巻き返しを図った。乗用車のシャシーやエンジンを使って車高を可能な限り低くし、3列シートで6人乗りと7人乗りを設定した。後席ドアは、ミニバンの特徴であるスライド式ではなく、乗用車の感覚を大事にしてあえてヒンジ式を採用。また、ボンネット内にエンジンを収めることによって、車高が低くても広い車室スペースを確保したのだ。 パワートレインは、最高出力145ps/最大トルク20kgmを発揮する2.3L SOHCエンジンと4速ATの組み合わせ。駆動方式はボンネット内にエンジンを搭載したFFベースで、デュアルポンプ式4WDの選択も可能だった。 ミニバンの常識を覆した乗用車感覚の初代オデッセイは、1995年には販売台数12万台を超える空前の大ヒットを記録、新世代のミニバンブームを巻き起こした。 キープコンセプトですべてをブラッシュアップした2代目 1999年に登場した2代目オデッセイは、基本コンセプトを継承しつつ、さらに乗用車らしい走りと快適性、使い勝手の向上を目指した。 まずパワートレインについては、初代から継承した2.3L直4 SOHCエンジンと4速ATの組み合わせに加えて、ハイグレード用に210ps/27.5kgmの3.0L V6 SOHCエンジンと5速ATの組み合わせの2種を用意。駆動方式は、先代同様FFと4WDが選択可能だった。 さらにエンジンをパワーアップした上で、剛性を向上させたボディやリファインした足回りなどによって、初代を凌ぐ軽快な走りとハンドリング性能を実現。また、ボディを若干ながら大きくし、7人乗り仕様の2列目シートに380mmのロングスライド機構を導入し、3列シートはヘッドレストを装着したまま床下に収納できるようにするなど、室内スペースについても改善され、ファミリー層に歓迎された。 車両価格は、FF仕様で直4エンジン搭載車が212.5万~259.5万円、V6エンジン搭載車が267.5万~312.5万円。当時の大卒初任給が19.6万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で直4エンジン搭載車が約249万~305万円、V6エンジン搭載車が約314万~367万円に相当する。 初代オデッセイは、2代目デビューまでの約5年間で国内販売42万台を達成。2代目オデッセイも、デビュー直後にカローラを上回る販売台数を記録して、オデッセイ人気をさらに加速し、ミニバンブームをさらに堅固なものにしたのだ。 ・・・・・・・・・ 全高を下げてミニバンながら乗用車のような走りがオデッセイの魅力だったが、2代目はパワーアップやボディの剛性や足回りなどを見直し、さらに優れた走りを実現し、また室内スペースや扱いやすさも改良を加えた。2代目は、オデッセイの魅力をさらに加速させて正常進化を果たしたのだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純