経験ゼロでいぶりがっこ風たくあんに挑んだ男の記録【やさいの時間8・9月号こぼれ話】
代わりのダイコンもないので、この干しすぎたダイコンを、ぬか:ザラメ:塩=3:2:1、刻んだ昆布とトウガラシを混ぜたものと一緒に、ジッパー付き保存袋に入れ常温で10日間ほど置きました。
その結果できあがったのがこれ!干しすぎたあとにさらに水分が抜けて、たくあんというより木の根のような堅くシワシワな物体になった。 これは端的に言って失敗だな......ということで、市販のたくあんも2種類購入しておきました。
第三話 心強い味方が現れる
たくあんも(失敗したけど)準備できたので、あとは燻製をするだけです。といっても経験がなく、一人では自信がなかったので、ある人に協力を要請しました。『やさいの時間』テキストの撮影で活躍してくれているカメラマンの阪口克さんです。焚き火の著書(『ビジュアル版 焚き火のすべて』草思社)や、アウトドア料理の著書(『冒険食堂 子どもの好奇心を刺激するアウトドア料理レシピ』山と溪谷社)などがあり、燻製についても経験豊富です。阪口さんに、まずは燻製について教わりました。
「燻製とは煙でいぶすこと(燻煙)で独特の香りをつけ、保存性も高めることです。大きく分けて高温でいぶす「熱燻」とやや高温(30~60℃)でいぶす「温燻」という手法があります。(低温で数日~数週間いぶす「冷燻」という手法は、時間的にも設備的にも一般家庭では難しいです。)一番手軽なのが熱燻で、中華鍋などを使い、10~20分で燻製ができますが、食材に火が通ってしまうので、たくあんも柔らかくなってしまうと思われます。そこで今回は温燻を選択するのがよいでしょう。」
という阪口さんの見解に従い、たくあんを温燻することにしました。手軽に温燻をするなら段ボール製の簡易燻製器がおすすめとのこと。ホームセンターなどでキットが手に入るということで、市販の段ボール製燻製キットを用意しました。火をつけて煙を出す燻煙材は、短時間高温で燻製する熱燻の場合はスモークチップを使用することが多いですが、数時間いぶす必要のある温燻は、スモークウッドと呼ばれる、粉状にした木材を固めてブロック状にしたものを使うのが一般的なようです。サクラ、リンゴ、クルミなど木の種類が書いてあります。今回用意したキットにはスモークウッドも入っていましたが、せっかくなら木の種類による香りの違いも体験したく、サクラとリンゴのスモークウッドを別途用意しました。