アマゾンやローソンも参入…2025年は「ふるさと納税」戦国時代に突入する
19日に発表されたのが、EC大手アマゾンの「ふるさと納税」事業への参入。独自の物流システムにより最短翌日受け取りが可能なほか、配送費や手数料といった経費を他のポータルサイトよりも低く抑えているため、同じ返礼品でも2、3割ほど安く手に入れられるという。アマゾンがこの時期にサービスをスタートさせたのは年末の駆け込み需要を狙ったものとされている。 【写真】愛知の人気うなぎ店が外国産を「三河産」と偽装…ふるさと納税返礼品の寄付者はどうなる? 消費経済アナリストの渡辺広明氏はこう話す。 「巨大企業のアマゾンにとっては数あるサービスラインアップの一つに過ぎず、圧倒的な資本力やサービス力で一気に市場を取っていくことになるでしょう。楽天やふるさとチョイスなど既存の競合は手数料率をアマゾンに揃えてくるのか、もしくは別で差別化を図るのか。ふるさと納税が主力のポータルは厳しい局面を迎えそうです」 総務省は返礼品を寄付金額全体の3割まで、手数料と合わせて5割以下に抑え、残りの5割以上が自治体に渡ることを求めている。しかし、物流費などの高騰で返礼品が3割を下回るケースもあるとのこと。 「お得な返礼品で巨額の寄付収入を得ている自治体はお金をかけて独自サイトを構築できますが、それほど金額を得ていない自治体は手数料を払って大手ポータルを利用せざるを得ない。どのポータルを利用するかは自治体サイドが選べるため、より条件が良く集客力のあるところに集中していくことになる。来年10月から返礼品にポイント付与できなくなる点も大きく影響してきそうです」(経済ジャーナリスト) ■手数料競争か、独自返礼品で差別化か アマゾン参入が発表されると、ふるさと納税関連の上場企業は軒並み株価を下げている。前出の渡辺氏は、2025年は「ふるさと納税の戦国時代」を迎えると話す。 「23年度の利用者は納税者全体の20%に満たないといわれ、市場自体にまだ伸びしろがあり、ローソンやすかいらーくHD、モスバーガーなどが新規参入しています。ローソンの場合、カタログギフトやチケット事業で培ったノウハウを生かして、自治体と組んで独自の商品開発をしていくといわれています。手数料だけでなく、画一的でない魅力的な返礼品を打ち出すことで、それぞれが差別化を図っていくと思われます」 中には自治体や生産者と密につながり、信頼を勝ち得ている事業者も。黒船の参入で業界地図はどう変わっていくのか。