「愛と多様性がこの国を作っていると、世界に示したい」 五輪モード、緊張と高揚に包まれた開幕直前のパリを歩いた
パリ中心部で聞いた否定的だったり無関心だったりした意見に対し、住民の声は意外だった。「五輪後もいい影響が残るといい」「あまり否定的な声ばかりを鵜呑みにしてはいけない」とも話していた。同僚記者とは「封鎖などで実際に生活に支障が出ているのはパリ市民で、サンドニは恩恵の方が大きいからではないか」と話し合った。暗くなる前に、街を後にした。 ▽「愛と多様性を見せたい」 史上初となる競技場外での開会式で幕を開ける、パリ五輪。エッフェル塔に花火が上がればあまりに写真映えするし、市長がセーヌ川を泳げばそれなりに人々は面白がる。五輪に反対するデモも、パリが持つ力とも感じる。出くわす光景はいちいち魅力的だ。 「パリで開催される五輪で、どんな姿を見せたいですか」。極右勢力の台頭で揺れたフランス国民議会(下院)総選挙決選投票の後、レピュブリック広場でフランス国旗を掲げていたパリ市民の男性に尋ねた。彼はこう答えた。「この国をつくっているのは人々の愛と多様性であることを、世界に見せたい」