火葬待つ安置施設“遺体ホテル”まで登場…増え続ける『身寄りのない遺体や遺骨』高齢化社会から多死社会へ
名古屋市では2022年、必要な手続きを行わず、身寄りのない遺体を火葬しないまま事実上、放置していた事案が発覚し、3年以上火葬されていなかった遺体もあった。 背景について名古屋市区政課の担当者は「当時、新型コロナウイルスが流行っていて、その関係事務を総務課で請け負っていたということもあって、どうしても親族がいない方っていうのは、誰からも急かされることがない事務なのでなかなか意識を高く持てなかったということが原因にはなっている」と話す。 身寄りがない遺体が増えていることについては「親族関係が希薄化していることだったりとか、1人で暮らしている人が増えたりといった面が背景にあるのではないか」としている。 問題発覚後、市は手続きを短縮し、配偶者、子に確認できれば火葬できると改めた。しかし、遺骨は「きょうだい」や、亡くなっていれば「おい」「めい」まで確認しなければならず、負担感は減っていない。
また、職員の心にのしかかるのは「引き取り手」の少なさで、2024年度は西区が作業を進める9件のうち、引き取られたのは1件のみ(6月時点)となっている。
西区役所の担当者: 「自分の家族が亡くなったりしたら、身内がやるのが当たり前の感覚で、そうではない家庭ももちろんあるんだなとなるまでは、理解に苦しむ部分もありました。ごくまれになんですけれど、ずっとご兄弟、亡くなられた方を『捜していましたよ』というご兄弟さんもいたりするんですよ。その人に伝えるすべとして、いわゆる行政が最後の場所なので」 引き取り手がない遺骨は名古屋市天白区の八事霊園の一角に、遺骨を納める施設がある。
施設に新たに収められる引き取り手のない遺骨は年々増加し、8400以上に上っている。
■「遺体ホテル」の登場も…身寄りあっても火葬が滞り生まれた事業
身寄りがあっても火葬が滞る現状もある。 火葬までの間、安置する「遺体ホテル」が横浜市にある。新横浜駅からほど近いオフィス街に立つ「ラステル新横浜」は『ラストホテル』を略して名付けられた。