「賃貸vs持ち家」結局どっちが得なの?元ファンドマネジャーが投資目線で分析した結果は驚きの
町を選ぶということは、つまり「暮らし」そのものを選ぶこと
さて、これまでの著作での井形さんは、ご自身の「街」選びやそこでのできごとについて伝えてきました。とくに魅力的なのは、知性を感じさせる新しい友達との交流。彼女が自身の世界を拡張していくさまがいつでもいきいきと描き出されていました。 いっぽう今回の著作の主題は、井形さんご自身ではなく、彼女のご両親です。ご両親が最後に暮らすための「町」選びのプロセスを、事務手続きを交えて克明に描いています。そこにあるのはご両親の古くからの友達との交流です。ご両親の世代には亡くなる方も多いので世界は縮小していきます。それを何とか維持するための選択、それが今回のテーマです。 たとえば『80代半ばでマンションを買う』という章では、井形さんとお母さまが運命のように「このマンション!」という物件に出会う経緯が描かれます。家ってね、案外と計画通りにスパスパとはいかなくて、そうそう、こんなふうに「行ったりきたり」しながら決まるんだよね。そんなことを僕も思い出しました。 そして、その家に住むまでのめんどうな手続きがとてもたくさんあることもつぶさに説明されます。それを知っておくことも、2人のこれからの人生ではとても重要です。どんなことであれ、作業量の見積もりはとても大事。どのくらいの時間を割けばいいのかの見当をなるべく正確につけられるようになると、いろんなストレスが減ります。 ここまでの前編では書籍のアウトラインをお話いただきました。続く【後編】では元ファンドマネージャの視点から見た「家」について語ります。どうしてタワマンは「お相場が1億円」なのか?そして、何度もたびたび問題になる賃貸VS持ち家問題の「シンプルな回答」とは?
投資家・文筆家 澤田信之