「心の病かも」精神科の受診を検討する5つの基準、家族は「患者からのシグナル」を見逃さないで
■何よりも、気になったらまずは相談すること 患者さんから送られているシグナルを心の病の症状として受け入れることができれば、治療にも前向きになれます。比率まではわかりませんが、家族と一緒に受診する人はかなりいます。 昔は、「お子さんは統合失調症ですから治療が必要です」と言うと、怒り出して診察室を出ていく親もいました。 心の病に差別意識があった時代は、家系に心の病を患っている人がいると困るということで、精神科病院に預けっぱなしの親もいました。
しかし、いまは心の病を専門とするクリニックはどこにでもある時代です。 気になったら相談する。家族は、患者さんをクリニックに連れてきた段階で成功だと思ってください。 もし、患者さんが受診することに抵抗がある場合は、まず家族だけで相談に行くのもいいでしょう。 一番大事なのは、あなたの悩みや相談に親身になってくれる医師を探すことです。 ■「肯定的なマインド」を育んでくれる医師を探す ただし、一部の医師や精神療法家のなかには、自分たちが信じる療法を「絶対的に正しいもの」という前提で、患者さんの置かれている状況や、患者さんのたどってきた生き方を考慮せずに、マニュアル的に診療を進めてしまうケースもあり得ます。
また、簡単な問診と薬を処方して、あとは経過観察だけという医師もいます。 もしも、医師と話してみて、その医師が自分の悩みと向き合い、受け入れてくれないと感じたのならば、その場合は別の医師にかかることを検討してみてもよいかもしれません。 患者さんの心に、肯定的なマインドを育める医師と向き合うのが、心の病を治す一番の近道です。とはいえ過度な心配はいりません。日本の精神科医の大部分は患者さんと真摯に向き合っています。
世の中には、心の病を治すことを専門とする人たちがたくさんいます。治す方法もいろいろあります。 しかし、大切なのは、どこまで患者さんに寄り添える治療者かどうかです。そうした精神科医なら、きっと患者さんを心の病から救うことができるはずです。
広岡 清伸 :精神科医