「警察に聞かれたら『ウェブでみた』と答えて」被告の交際相手の男性が”口止め”証言 孤立出産で罪に問われる女性たち#2
死産した子の扱い 2023年最高裁の判断
技能実習生をめぐっては、2020年、ベトナム人技能実習生(当時24歳)が、死産した双子の遺体を段ボール箱にいれるなどして遺棄したとして死体遺棄罪に問われた。1審2審とも有罪判決を言い渡したが、2023年3月、最高裁判所は1審2審判決を破棄し、無罪を言い渡している。 予期せぬ妊娠と出産ののち、罪に問われる女性があとをたたない。グエット被告はなぜ孤立出産にいたったのか。家族を支えようと日本へやってきた若い女性をこうなる前に救うことはできなかったのか。法廷で流した涙の裏には、どのような思いがあったのか。今後も、法廷で語られる言葉を記録し、伝えていく。 RKB毎日放送 記者 原口佳歩
【参考】検察側が説明した事件の経緯と状況
検察側は事件の経緯や状況を次のように説明した。 【2023年7月】 グエット被告が食品製造会社で技能実習生として働き始める。 【2023年12月】 グエット被告は自分が妊娠していることに気付いた。勤務先に相談するとベトナムに帰国させられるかもしれないと思い、妊娠したことを周囲に相談できなかった。 【2024年2月2日】 グエット被告は博多区の勤務先に出勤したが、勤務中に腹痛に耐えられず午前10時ごろ早退。交際相手の家に帰宅した。その後、トイレで男児を出産した。死産だった。夕方、交際相手が帰宅すると、グエット被告がリビングの床に横たわっていた。服や床は血で汚れていた。交際相手は知人とともにグエット被告を病院へ連れて行った。その後、被告は別の病院へ緊急搬送された。グエット被告は病院を訪れた技能実習生を支援する組合の職員や警察官に、男児をごみ箱に捨てた旨申告した。警察官がその後、交際相手の家のごみ箱内から男児の遺体を発見した。
今後の裁判
弁護側は無罪を立証するため、専門家による3つの意見書の提出を予定している。 (1)産婦人科医の意見書 死産を迎えた被告の精神状態や体の状態はどうだったのか立証する (2)刑法学者の意見書 「死体遺棄」はどういうものなのか、刑法の解釈について (3)ベトナムの弁護士の意見書 ベトナムでの亡くなった方の弔い、埋葬、習俗慣習に関するもの 裁判は、次回7月1日に追加の証人尋問(監理団体の通訳者・同僚の技能実習生)、8日のグエット被告の被告人質問を経て、判決が言い渡される予定。