「警察に聞かれたら『ウェブでみた』と答えて」被告の交際相手の男性が”口止め”証言 孤立出産で罪に問われる女性たち#2
「妊娠したら帰国させる」と何度も繰り返し…
弁護側は、グエット被告が事件当日、経験したことのない陣痛に見舞われて死産に至り、羊水や血液が滴り落ちる遺体を裸のままにしておくことはできないとビニール袋に入れたと説明。監理団体から「妊娠したら帰国となる」旨を繰り返し説明されていたことから、グエット被告は帰国させられないようにするにはどうしたらいいか考えながらも、体力の限界を迎え、すぐそばにあったごみ箱の上に遺体をひとまず置いたと主張した。また、被告は「体力が回復すれば遺体をごみ箱から取り出そうと考えていたものの、入院しなければならなくなった」とも主張。「遺棄」はなく、死体遺棄の故意もあったともいえないとして、「グエット被告は無罪」とした。
弁護側「勇気のいる証言」
公判終了後の会見で、弁護側は、交際相手の証言は2点において重要な意味があると説明している。 (1)「日本に来る前から『妊娠したら帰国させられる』という話を何回も聞いていた」とする証言 (2)事件後、交際相手が監理団体から、「質問されたら『妊娠したら帰国させる』などといった内容は監理団体から言われたのではなくインターネットで検索したというふうに説明してくれと言われた」とする証言 グエット被告の弁護人 島翔吾弁護士「ベトナム現地の送り出し機関だけではなく、日本の監理団体がベトナムに赴いてそういう説明を繰り返ししていたと。”口止め”のようなことを言っていたという事実が法廷で明らかになったのは非常に大きな意義があった。非常に勇気のいる証言だと思う。今まさに技能実習生として働いている交際相手の発言ですから、監理団体、勤務先から不利益な取り扱いを受けるおそれもあるわけです。そういった危険を顧みずに勇気をもって証言してくださった交際相手の方には心から感謝したい。この証言が裁判を一歩前に進ませてくれたと考えています」 グエット被告の主任弁護人 池上遊弁護士「死産のお子さんをつくってしまったのは私たち日本人の責任だと思います。こうした技能実習制度をここまで温存したことが、彼女の孤立死産を生み出したということでもあります。この死産した男児の遺骨、魂に報いるためにも頑張っていかなければならない」