MUFG、電子取引機能の強化進める-日本国債は従来型維持
(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、電子取引機能の大幅なアップグレードを進めているが、日本国債ディーラー向けには従来型の音声による取引方法を維持している。
MUFGの電子取引チームを世界で50人超の規模に拡大する取り組みを主導してきたスチュ・テイラー氏が明らかにした。
同行の電子取引部門責任者であるテイラー氏はインタビューで、「われわれは電子取引への参入が遅かった」と説明。「日本は非常に人間関係重視の市場だった。それは今も続いているが、データやコンプライアンス、効率性を重視する世界に徐々に押されている」と語った。
MUFGはライバルに追いつきつつあり、電子取引が定着している債券・株式取引の分野で競争力を高めようとしている。同行は、大規模な企業金融や融資業務をカバーするソリューション事業に長年重点的に取り組んでおり、証券取引部門が、あらゆるヘッジ要件をサポートしようとしている。
それでもテイラー氏は、同行の証券取引業務の重要な一部をこの戦略から除外することを選択している。日本国債市場は依然として少数の大手アセットマネジャーが主導しており、取引執行時に音声によるやり取りができることは同行に有利に働くと、同氏は付け加えた。
「そこで昔ながらの電話が機能を発揮する。われわれは価格を提示できるが、さらに相手がなぜ特定の取引を行おうとしているかも知ることもできる。そして、その流れに備え、欧米市場でそれを具体化させることができる」と説明した。
通常、そうした会話は日本語で行われ、この分野のマーケットメーカーは比較的少ない。「JGB村」として知られる日本国債取引コミュニティーは、外部者がほとんど立ち入ることができないが、日本銀行が利上げに動いたことで、その注目度は高まっている。
「他の企業が参入するのはかなり難しい。私の戦略は全てを電子化することではなく、われわれが効果的に競争できる適切な商品を選ぶことだ」と話した。