「H3」打ち上げ、静止軌道へ衛星投入へ…世界に選ばれるロケットになれるか
防衛省、3機体制確立へ Xバンドで円滑通信
日本の通信衛星の中でも、防衛省が所有する衛星は自衛隊が使うことが多く、用途によってXとKu、L、Kaという四つの周波数帯域(バンド)を使い分けている。H3ロケット4号機に載せる「きらめき」3号は、Xバンドという周波数帯域8ギガ―12ギガヘルツ(ギガは10億)を活用する通信衛星。地形によらず覆域が広い衛星通信と気象の影響を受けにくく安定な通信が可能という特徴があり、分散した自衛隊の部隊間での適時適切な通信に使われる。 具体的には、海外を含めた陸・海・空自衛隊の部隊運用での命令や調整などの円滑な情報通信や大容量の画像・映像データの伝送に利用する。機密情報をやりとりする安全保障の観点で重要な通信インフラであるため、衛星の大きさや質量といった詳細なスペックは公開されていない。 きらめき以前はスカパーJSATの通信衛星3機による通信サービスを利用していたが、設計寿命のため後継機を打ち上げて運用する必要があった。そこで防衛省が所有・運用する3機体制の通信衛星の開発に乗り出した。これまで2機のきらめきの打ち上げに成功し、今回で3機体制が確立する見込みだ。JAXAの山川宏理事長は「H3ロケット4号機の打ち上げ準備に注力し、きらめき3号機を確実に静止軌道に届ける」と意気込んだ。