空き店舗活用「発想の転換を」 長野の商店街で見学会
空き店舗の活用で地域に元気を――。長野県佐久市の中込商店街で空き店舗の見学会が11日にありました。県、佐久市、中込商店会協同組合の主催で、市民や商業者、街づくりの関係者ら30人が参加。「空き店舗活用には発想の転換が必要」などと論議も交わしました。空き店舗は全国的な問題でもあり、長野県は来年度以降も見学会を中心にしたイベントを展開する方針です。
1980年代に道路と町並みを整備したが……
中込商店街はJR小海線の中込駅前に広がる一帯。同商店会協組によると1973(昭和48)年に区画整理事業に併せて商店街近代化事業を進める方針を決め、1975年に協同組合を発足。32億円の費用をかけて1984年に事業を完成させ、広い道路としゃれた街並みの商店街に生まれ変わりました。その後、全国の多くの商店街と同様、空き店舗などの課題を抱えています。 この日は商店街の協力で5軒の空き店舗を見学。道路に面してガラス張りの広い売り場を持つ閉店した店では、持ち主が「後の利用法をこれから決めたいが、利用か解体かの判断もある。もし興味があれば声をかけてください」と説明。見学者は階上や地下室などを丹念に見て回りました。 ほかでは店舗面積の大小や水道・トイレなどの水回りが備わっているかが関心事。また「近代化事業などを経ているためか、道路に面してガラスが広く使われている点は評価できる」などの声も出ていました。
“病院城下町”や“塾の町”などコンセプト
見学の後の意見交換会では地元出身の男性が「生まれ育ったところなので懐かしいが、空き店舗が生じてしまうのはもったいない。店を貸す側が家賃などの情報をもっと具体的に示してほしい」と注文。これに対し「借り主を公開で募集すると貸したくない相手が現れたりするので、できるだけツテをたどろうとするケースがあるようだ」という説明もありました。 設備の問題では女性が「持ち主の住居と店舗が一緒の店もあって、このままでいいのか検討が必要。トイレがビルのほかの場所にあったり、水回りがないところもあったが、これは借り主が大変だと思う。駐車場が店の近くにない店は、貸し出す場合に課題になる」などと指摘しました。 商店街の振興に目を奪われるだけでなく、どんな街にするのかのコンセプトが大切だとの意見も。「例えば駅前の病院を核にした“病院城下町”を形成したり、受験生が集まる“塾の町”を空き店舗でつくり出すといった発想があっていい」との提案も。 同様に、立ち飲みの店を開いたり、ダンス教室の開設など「物販の店の街にするのか“体験”の街にして人を引き付けるのか、街づくりの基本プランが重要」という声や、遠方から通学する高校生らのために空き店舗を下宿施設にするアイデアなど、街に特徴を持たせることが大切だとの意見が続きました。