大阪-和倉に直通便検討 サンダーバード、臨時で
●JR西社長、乗り換え不便さ対応 JR西日本の長谷川一明社長は4日、北陸新幹線敦賀延伸に伴って敦賀止まりとなった特急「サンダーバード」について、大阪と七尾市和倉温泉を結ぶ臨時直通便の運行を検討する考えを示した。敦賀での乗り換えによる不便さに対応する狙いで、地震、豪雨に見舞われた能登の復興につなげる。同日、北陸新幹線大阪延伸を協議するため、国会内で開かれた与党整備委員会の会合で言及した。 ●新幹線延伸で京都駅付近のルート希望 会合は冒頭を除いて非公開。与党整備委は北陸新幹線敦賀以西の整備を巡り、現行の「小浜ルート」の詳細3案から年内に1案を選ぶ予定で、その判断材料とするため、長谷川社長、福井県の杉本達治知事から意見聴取した。 出席者によると、委員の佐々木紀衆院議員が能登の復興に向けて大阪と和倉をつなぐサンダーバードの復活を求めたのに対し、長谷川社長は「定期便は難しいが、臨時便を検討したい」と答えた。委員長の西田昌司参院議員(京都府選出)もJR西に検討を促した。 サンダーバードの臨時直通便運行については、岡田直樹参院議員らが新幹線のルートを再検証するために設置した自主研究会でも議論している。金沢経済同友会も馳浩知事との意見交換会で直通便の復活を提言していた。 このほか、長谷川社長は小浜の詳細ルートに関し、京都駅付近を通ることが望ましいとの見解を示した。小浜の詳細ルートは▽京都駅の東西を通る「東西案」▽京都駅を南北に貫く「南北案」▽京都駅から約5キロ離れた「桂川案」がある。 杉本知事は小浜ルートでの早期着工を要請。環境影響評価(アセスメント)を丁寧、迅速に行い、財源議論を加速させるよう求めた。その上で「小浜市は原発の立地地域として日本の発展に尽くしてきた。立地地域の振興を国の責任として果たしてほしい」と述べた。 ただ、小浜ルートは事業費、工期が当初の想定から増大、着工の前提条件が大きく変わり、石川県などでは「米原ルート」への再考を求める声が強まっている。 長谷川社長は終了後、記者団に米原ルートについて、JR東海との運行管理システムが異なることに触れ「統合は技術的に非常に難しい」と指摘。東海道新幹線への乗り入れは困難との認識をあらためて示した。整備委は13日に京都府、京都市、大阪府から意見聴取する方向で調整している。