「タイトルと無縁の競輪人生でも、不思議ではなかった」平原康多の苦境からの復活劇を、帝王・山田裕仁氏が徹底解説!
現役時代はKEIRINグランプリを3度制覇、トップ選手として名を馳せ、現在は評論家として活躍する競輪界のレジェンド・山田裕仁さんが、いわき平競輪場で開催された「日本選手権競輪」を振り返ります。 2024年5月5日(日)いわき平11R「第78回日本選手権競輪」(G1・最終日)S級決勝 左から車番、選手名、期別、府県、年齢 ①古性優作(100期=大阪・33歳) ②平原康多(87期=埼玉・41歳) ③清水裕友(105期=山口・29歳) ④吉田拓矢(107期=茨城・28歳) ⑤山口拳矢(117期=岐阜・28歳) ⑥諸橋愛(79期=新潟・46歳) ⑦武藤龍生(98期=埼玉・33歳) ⑧小林泰正(113期=群馬・29歳) ⑨岩本俊介(94期=千葉・40歳) 【初手・並び】 ←④②⑦(関東)①(単騎)③(単騎)⑤(単騎)⑧⑥(関東)⑨(単騎) 【結果】 1着 ②平原康多 2着 ⑨岩本俊介 3着 ①古性優作
ラインで戦う関東勢、S級S班の3名は単騎勝負!
今年も、この“特別”な日がやってきました。すべての競輪選手が憧れるタイトルといっても過言ではない、「ダービー」こと日本選手権競輪(G1)。5月5日にはその決勝戦が、福島県のいわき平競輪場で行われています。参加する選手数がもっとも多いGIであり、6日制のなかで4走するという勝ち上がり方式のため、コンディション管理も難しい。どれほど強い選手であっても獲るのが難しい、まさに特別な競輪なのです。 今年は、400mバンクのわりには最後の直線が長い、いわき平が舞台。春らしく強い風が吹く瞬間もあって、先行した選手が苦戦するケースが目立ちましたね。地元地区である北日本勢は勝ち上がりの過程で苦戦し、一人も決勝戦に駒を進められませんでした。それとは対照的に、大挙5名を決勝戦に送り込むことに成功したのが関東勢。眞杉匠選手(113期=栃木・25歳)が敗退してコレですから、改めて層の厚さを感じます。 S級S班からは、古性優作選手(100期=大阪・33歳)と清水裕友選手(105期=山口・29歳)、山口拳矢選手(117期=岐阜・28歳)の3名が勝ち上がり。古性選手と清水選手は、このシリーズでもっとも調子のよさを感じた選手でもあります。ダービーを勝つために万全の態勢で臨んできたというのが、走りから存分に感じられるデキのよさ。連覇のかかる山口選手も、ここを目標にかなり立て直してきていましたね。 そもそもダービーの決勝戦というのは、能力の高さとデキのよさを併せ持たねば立つことができない舞台。岩本俊介選手(94期=千葉・40歳)や小林泰正選手(113期=群馬・29歳)も、デキのよさでは負けていなかったでしょう。問題は、そのデキのよさを持つラインが「関東勢にしか存在しない」という極端なメンバー構成となった、今年の決勝戦で生かせるかどうかです。