お年寄りが好きな「地元のお菓子」がいきなりトレンド1位に…愛知名物「しるこサンド」が新たなファンを生んだSNS戦略
SNSで“勝手に”絡んでいく
商品に関する課題としては、まだ認知度が低いこと。同社の調べによると、愛知県でしるこサンドの認知率は8割ある一方で、愛知県以外だと5~6割だという。いずれは全国どこでも8割の人が知っている状況に持っていきたいと考えている。 そのためにSNSを使って今取り組んでいることの一つが、県外から名古屋にやってきた観光客へのアプローチだ。ターゲットの一例が、音楽イベントなどに来た人たちである。 「しるこサンドはオタク文化との親和性が高くて。例えば、声優の方がライブ中のMCで『しるこサンドを食べて美味しかった』とコメントしてくださるとします。ファンの人たちって“推し”が好きなものは全部買うような習慣があるから、ライブ終わりに名古屋駅周辺のしるこサンドが買い占められることは定期的におきますね」 そうしたファンに対してSNS上で「ご購入いただきありがとうございます」とお礼を伝えたり、売り切れで購入できなかった人にはECサイトを案内したり、「名古屋のこのスーパーにはまだあります」といった情報を提供したりする。 「本当にお客さま相談窓口みたいな感じで、問い合わせに受け答えすることもしばしば」だと可兒さんは話す。そのきめ細やかなサポートが非常に喜ばれているようだ。 松永製菓の変革はここ数年で一気に加速した。たとえロングセラーであってもあぐらをかいてはすぐに淘汰される現代において、地方の老舗企業の大きなチャレンジから学ぶことは多い。
伏見 学(ライター)