お年寄りが好きな「地元のお菓子」がいきなりトレンド1位に…愛知名物「しるこサンド」が新たなファンを生んだSNS戦略
バズりを促進
SNSの強化によって具体的にどんな成果が生まれたのか。一つは、通販での売り上げ増。2020年あたりからECサイトの売り上げは右肩上がりで推移しており、SNSの運用前と比べて10倍以上に増加したという。 「従来はECサイトへの導線がほぼなくて、会社のページから飛べる程度でした。今はSNSの投稿内容に応じて商品リンクを貼っているため、SNS経由でのネット購入の割合が増えています」 もう一つは、バズりを促進させて、さらに話題性を大きくしている点だ。冒頭で触れた「ちいかわ」の際には、反応したユーザー一人一人にコメントしたり、いいねを押したりしたことで、そこからユーザーがさらに「公式にコメントをもらった」などと盛り上がった。そうした細かなアクションの積み重ねがSNS上で新たなうねりを生んだ。この前後の期間でしるこサンドの売り上げはおよそ1.2倍になったという。
日常菓子はファンになってもらうしかない
SNSに力を入れ続けるその先に目指すのは、ロイヤルカスタマーの獲得である。 「コロナ禍でお客さまと交流できるイベントなどがなくなってしまい、直接対話することもできず、広報としてどうすべきなのか悩みました。その時に活路を見いだしたのがSNSでした。そこからですかね、できる限り多くの投稿にコメントしたり、いいねを押したりするようになったのは」 可兒さんは続ける。 「やはりしるこサンドは日常菓子ですから。毎月毎月たくさんの新しいお菓子が発売される中で選んでもらうには、ファンになっていただくしかないのです。そのためにはコンスタントに情報提供したり、交流したりしないとすぐに関係性は薄れてしまいます。そうした点で、顧客接点のチャンネルとしてSNSはかなり役に立っています」 毎日コメントや返信をすることで、だんだんユーザーの顔も見えてくる。「あ、この人、また買ってくれたんだな」などと印象に残るようになる。そうやって顧客とのコミュニケーションを深化させているのだ。近い将来、リアルの場でファンミーティングを開催したいと考えている。