サムライブルーからシンガポールレッドへ 仲村京雅は国を超えて代表へチャレンジ
シンガポールの舞台で開花
現在サッカー日本代表がワールドカップ最終予選での快勝劇を巻き起こしている。その中で、一人の日本人が国の枠を超えて代表の舞台で戦おうとしている。2013年、日本代表としてFIFAU-17ワールドカップに出場した仲村京雅はその後型破りなサッカー人生を歩んできた。 ジェフユナイテッド市原・千葉でプロキャリアを始めた仲村は成長の機会を求めてレンタル移籍を繰り返した後、海を越えてシンガポールへと活動拠点を移していく。2019年に同名J1リーグクラブのサテライトチームであるアルビレックス新潟シンガポールへ完全移籍し、その年の12月にタンピネス・ローバースFCへの移籍を勝ち取った。 シンガポールの舞台で才能を開花させた仲村はシンガポール・プレミアリーグのチーム・オブ・ザ・イヤーに4度選出されるなど、今やリーグ屈指のプレイヤーとして自身の地位を確立した。第二の故郷ともいえるシンガポールで、キャリアの初期に欠けていた安定性と継続性を見出すほどに成長を遂げている。 そして今年初め、28歳の中村は妻と幼い娘とともにシンガポールの永住権を取得。そして国際Aマッチデイの期間中にシンガポール代表の集中トレーニングにも参加し、年末のASEAN選手権に向けて準備を進めている。 シンガポールの永住権保持者が市民権を申請するには、通常2年待たなければならないが、シンガポールの外国人スポーツ・タレント制度を利用すれば、そのプロセスを早められる可能性があるという。 今年のASEAN選手権に市民権の取得が間に合うかは現在不明だが、仲村はこの1週間で、シンガポール代表の一員として重要な存在であることを示すため、この経験を楽しんでいると『ESPN』の単独インタビューで答えている。 「才能ある選手と素晴らしいスタッフに恵まれたこの素晴らしいチームに参加できて幸せです」 「初日からすでに多くのことを学びました。 自分のポテンシャルをフルに発揮できたとは思っていないので、(残りの1週間を)楽しみにしているし、ライオンズ(シンガポール代表)に貢献できることを示せればと思っています」 「ピッチ上では、インテンシティが高く、全員の集中力が高かったので驚きました。 あんなに質の高いプレイができて幸せに感じています」 ここ数年のSPLで最もクリエイティブなMFの一人である仲村は、最近の大会でシンガポールに欠けていた創意工夫と冷静さを加えてくれるだろうと『ESPN』で紹介され、大きな期待が寄せられている。 「いろいろなことが起こったので、自分の気持ちを表現することができません。今は代表の練習に参加しています。 2人目の子供ができました。 PR(永住権)も取得しました。 うまくいけば市民権も取れます。人生いろいろなことが起こりますね!」 海を越えたシンガポールの地で赤いユニフォームをまとった仲村が、母国であり、歴代最強クラスの現在の日本代表を相手に戦うというシナリオもあるかもしれない。シンガポール対日本の試合の実現を期待したいところだ。