ディーゼル車を超えるポテンシャル! ベンツの長距離EVトラック「eアクトロス600」ドイツで納車開始!
新時代の純電動トラック
最初のeアクトロス600を受け取るのはドイツ国内の9社で、購入費用に対してドイツ政府の大型商用車の代替駆動技術に対する補助金を申請することができる。 eアクトロス600は1基当たり207kWhのバッテリーパックを3基搭載し、合計の電池容量は621kWhとなる。600kWhという容量はモデル名の「600」の由来でもある。 社内で新開発した高効率の電動アクスル(eアクスル)を備え、同社の内部基準による航続距離は500kmに達する(長距離輸送の運行ルートを想定した外気温20度の環境で、セミトレーラをけん引するGCW40トンの4×2トラクタという条件)。 この500kmという航続距離は、EU全体の基準値である総重量40トン定積状態での数字だ。普通、トラックは常に満載状態で走るわけではないため、運行スタイルやルートなど現実的・実用的な環境ではこれを大幅に超える可能性がある。 途中での充電が利用可能であれば1日当たり1000kmオーバーの運行も充分に可能だ。特に有望視されているのがトラックドライバーに義務付けられている法定休憩(日本では「連続運転4時間につき30分」だが、欧州は「4.5時間につき45分」)中の充電で、ドライバーの労働時間や拘束時間に影響しないまま航続距離を延ばすことができる。 充電オプションは最大400kWのCCS方式に加えて、今後のアップデートによりMCS(メガワット充電システム)にも対応する予定となっている。 バッテリーには、長寿命のリン酸鉄リチウムイオン電池(LFPバッテリー)を採用した。これは従来のディーゼル版「アクトロス」と同等の耐久性要件を満たすためで、同社の基準は10年/120万km走行後に80%以上のバッテリー健全性が残存していることを求めている。 他の電池技術とは対照的にLFPバッテリーでは総容量の95%が利用可能であることも、長い航続距離が求められる大型車に適している理由の一つだ。 トラックメーカーにとっても、また運送業界にとっても最も重要なセグメントとなる長距離輸送を担うeアクトロス600は、メルセデス・ベンツ・トラックスの新しい電動フラッグシップで、将来的にディーゼル車の大部分を置き換えて行くことが期待されている。