心理的安全性を説く100年前のアドラーの教え アドラー心理学で一番大事な考え方とは何か
この共同体感覚は、「お互い仲良くしよう」「ベタベタしよう」というのとはまた違った考え方になります。信頼関係やパートナーシップがあるうえで、お互いの共通の目的のために自分は何ができるかを考えることといえます。 2023年、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本の野球チームは優勝しました。大谷翔平選手の目覚ましい活躍もあって記憶に残っている人も少なくないのではないでしょうか。 個性も能力も異なるプロ野球選手たちですが、しかしながら、慣れ合うように仲良くしたわけではないでしょう。「仲良くご飯を食べに行って」とか「仲良くお話しして」というわけではありません。
お互いを尊敬し合い、信頼し合い、チームが勝つためには何ができるか。それを1人ひとりが考え、行動した結果ではないでしょうか。 このWBCの例のように、共同体のため、つまり家族のため、チームのため、組織や会社のため、社会のため、「自分は何ができるか」という貢献の視点をとても重要としたのです。 アドラーが「貢献の心理学」と言われるのは、まさにここにあるのです。
岩井 俊憲 :ヒューマン・ギルド代表