相続対策で子どもに贈与しようと考えています。贈与にはさまざまな特例があると友人から聞いたのですが、有利な特例制度があれば教えてください
贈与には、さまざまな特例制度があります。うまく利用すれば、相続対策として効果的です。本記事で、主な特例制度のポイントを解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
贈与と贈与税
贈与は、単独行為ではなく契約です。一方が金銭などを無償で相手方に与える意思を示し、相手方が受諾することによって成立します(民法549条)。 贈与税の課税方法には、「暦年贈与課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。 暦年贈与課税は、1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の価額を合計した額(課税価格)から基礎控除額110万円を差し引いた残額(基礎控除後の課税価格)に税率を乗じて、税額を計算します。税率には、一般税率と特例税率があります。なお、相続開始前3~7年以内の贈与分は相続財産に加算する必要があります。 相続時精算課税の制度とは、原則60歳以上の父母もしくは祖父母などから、18歳以上の子もしくは孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。 相続時精算課税を選んだ受贈者は、特定贈与者ごとに、1年間に贈与によって取得した財産の価額を合計した金額から、基礎控除額(110万円)を控除し、特別控除(最高2500万円)の適用がある場合は、その金額を控除した残額に20%の税率を乗じて、贈与税額を算出します。 相続の際は、相続時精算課税制度で贈与を受けた財産を相続財産に加算して、相続税の計算をします。 なお、この制度を選択するとその選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更できません。また、相続時精算課税制度で贈与を受けた宅地については小規模宅地等の特例を適用できません。
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、18歳以上の子や孫などが父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、マイホームの取得等に充てるための金銭の贈与を受けて翌年3月31日までに新築等を行い、居住した場合には贈与を受けた金銭について一定金額(省エネ等住宅は1000万円、それ以外は500万円)まで非課税になる制度です。 この特例は、暦年課税や相続時精算課税制度との併用が可能です。暦年課税では、相続開始前3~7年以内の贈与分は相続財産に加算する必要がありますが、この特例を利用した部分は加算が不要です。