相続対策で子どもに贈与しようと考えています。贈与にはさまざまな特例があると友人から聞いたのですが、有利な特例制度があれば教えてください
贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、マイホームやそれを購入するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円(相続時評価額)まで控除(配偶者控除)できるという特例です。つまり、最大で2110万円まで贈与税がかかりません。ただし、不動産を取得する際の不動産取得税とは負担しなければなりません。 また、暦年課税では、相続開始前3~7年以内の贈与分は相続財産に加算する必要がありますが、おしどり贈与は加算が不要です。
祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
令和8年3月31日までの間に、30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与する場合、最大1500万円(学校等以外の塾や習い事への支払いは500万円)まで贈与税が非課税となる制度です。この制度を利用するには信託銀行などに専用の口座を作る必要があります。 なお、子や孫が30歳になったときに使い残しがあった場合、その残額に対し贈与税が課税されます。子や孫に思わぬ税負担をかけることになりますので、贈与する金額は慎重に決めましょう。また、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、残額が相続財産に加算される場合があります。
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度
令和7年3月31日までの間に18歳以上50歳未満の子や孫に、結婚・子育て資金に充てるための資金を一括贈与する場合、最大1000万円(結婚関係は300万円)まで贈与税が非課税になる制度です。この制度を利用するには、信託銀行などに専用の口座を作る必要があります。 なお、子や孫が50歳になったときに使い残しがあれば、その残額に対し贈与税が課税されます。子や孫に思わぬ税負担をかけることになりますので、贈与する金額は慎重に決めましょう。また、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、残額が相続財産に加算される場合があります。
まとめ
ここまで、贈与税の主な特例の概要についてみてきました。贈与の実行にあたっては、適用要件を満たしているか税務署や税理士に確認しましょう。 本記事では紹介していませんが、このほかに特定障がい者の方に対する贈与の非課税制度もあります。特定障がい者のお子さんなどいる方は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。 出典 デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法 (贈与) 第五百四十九条 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税) 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択 国税庁 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし 国税庁 No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除 国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし 国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税 執筆者:新美昌也 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部