フィンランドで失業するも作家として独立。週末北欧部chikaの仕事術【HOW I WORK】
自分の持つ才能を自覚して生かす
──ご自身の人生に大きな影響を与えた本を2冊教えてください。 1冊は、『さあ、才能に目覚めよう』です。「ストレングスファインダー」という言葉を日本に定着させた本ですね。 全部で34種類ある強みや才能から、自分が持っているもの知り、それを生かすという内容です。私はこの本がすごく好きです。 本にある言葉で心に残った一言は、「日陰の日時計に何の意味があるのか」という、ベンジャミン・フランクリンの言葉です。 自分らしさというのは、当たり前すぎて自分ではわからない。けれど、その自分らしさとは、人から見れば実は特別な才能かもしれない。それを自覚して生かすことの大切さを実感させてくれる1冊でした。 もう1冊は、小説『かもめ食堂』です。ある日本人女性がフィンランドで食堂を開く、奮闘記です。 主人公は、自分とどことなく似た感性の持ち主で、具体的で解像度の高いロールモデルを見つけられたような気がしました。たびたび読み返していて、夢を諦めそうになったときに励まされる本です。
「仕事がすべてではない」と言葉に出していい世界
──日本からフィンランドに来て、働き方に関しての考えは変わりましたか。 和食レストランの繁忙期で、自分も同僚たちも長時間労働が続いたことがありました。そのさなか、同僚が「僕はこの仕事は本当に好きだけれど、この働き方を許容できるほど好きではない」という一言がありました。 それが、心に深く残りました。仕事がどんなに好きでも限度はあること。そして、それを言葉にしてもいいということが、私にとっては新鮮な気づきでした。 上司のシェフも、「仕事はあくまでもパートオブライフ。一番大事なのは自身の一度しかない人生」だとおっしゃっていて心にしみました。 それまでは、「好きなことをしているのだから、しんどくても楽しむべき」という考えがありました。でも、そうした言葉を聞いて、働くということをリデザインしなくてはと思いました。 フィンランドには、自分のものさしで人生を生き、仕事をする人が、とても多いです。価値基準を自分に置き、キャリアも含めて全部自分で決めるからこそ、人生の舵を取っている充実感があります。