2024年『競馬界10大ニュース』を独自選定。“スマホ問題”で人気騎手が電撃引退、相次ぐ不祥事に負の連鎖が止まらず
競馬界を震撼させた”通信機器”を巡る騒動
【第1位】『スマートフォン(スマホ)の不正使用で処分者が続出』 JRAでは調整ルーム内、開催中の競馬場、他場への移動中は通信が可能な機器の使用が禁じられているが、この規則を破る例が2024年は多数確認され、処分を受ける騎手が続出した。今回の事件は23年5月に若手騎手6名によるスマホの不正使用で騎乗停止処分を受けたことを端緒とし、当年は7月(水沼元輝騎手)、10月(小林勝太騎手、永野猛蔵騎手)と同様の例が続出した。この件の発覚によって再調査が行なわれ、一部週刊誌に報道された藤田菜七子騎手のスマホ不正使用も明らかになった。その結果、藤田騎手と永野騎手は現役を引退するに至った。 調整ルームへの設置や、スマホの使用に関しての規制があるのは日本ぐらいであるという特殊な事情を踏まえ、筆者はこれらの措置が時代にそぐわないという見解を持っている。というのも、特に調整ルームに入るのは基本的に開催前日の夕方から夜と決められている一方、騎乗が終わった時点から調整ルームへの入室までの間は外部との通信や面会は何ら規制されておらず、公正な運用の手立てとしては有名無実化しているからだ。 また、騎手をプロフェッショナルとして扱ううえで、それを子ども扱いするという意味で過剰な措置とも感じている。とはいえ、日本において過去に八百長事案が何件か発生しており、いまだにギャンブルを白眼視する風潮が根強いのも確かで、主催者の止むを得ないスタンスも理解できないことはない。 筆者は将来的にこれらの措置が取り払われることが理想だと考えるものだが、その前提として現状の規則を犯さない厳しい自制心が必要であることは言うまでもない。それだけに、これらの重大事犯が続出したことは残念でならない。 第1位をスマホの不正使用の件としたのは不本意ながら、世間への影響という意味を鑑みれば仕方ないことだと感じている。2025年はよりクリーンで、競馬本来の魅力である激しくも美しいレースをアピールする場に立ち返ってほしいと願うばかりである。 文●三好達彦
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