職場に「男女別の休養室」ありますか? 50年ぶり法改正、3年前から設置が義務化
●休養所で体調が戻らない場合はどうする?
ただし、「この休養所・休養室は、体調不良者等を一時的に休ませ回復させるものにすぎません」と杉浦弁護士は指摘します。 「少し横になるだけで体調が戻るような様子がない場合は、自宅に帰宅させたり、近隣の医療機関への受診を勧めるべきでしょう。 本人が自発的に対応をしない場合は、休職命令を出すことも検討してよいでしょう。 体調不良が続くことを認識しつつ、そのような対応をしていないと、場合によっては安全配慮義務違反となり、従業員やその遺族から損害賠償請求を受ける可能性があります」
●「うちの職場にはない」という声も…
Xでは、「うちの職場は設置義務があるのに、休養所がない」といった声もありました。「常時50人以上、あるいは常時女性が30人以上の労働者を使用する事業者」にもかかわらず、休養室や休養所を設置していない場合、従業員たちが何かできることはあるのでしょうか。 「勤め先が休養室や休養所を設置していない会社は、実はそれなりに存在しています。スペースがないとか、そのような点がよく指摘されています。 ただ、専用のスペースでなくてもよく、たとえば会議室に簡易ベッドやパーテーションなど用意しておき、万が一の場合に、休養室に転用できるようにしておくだけでも大丈夫です。 会社の担当者に対しては、厚生労働省の定めた設置義務に違反していることや、万が一急病人が発生して、横になれるスペースがないことによって後遺症等が発生すれば、会社の安全配慮義務違反となることなどを指摘して、改善してもらうようお願いするのがよいのではないでしょうか」 【プロフィール】 杉浦 智彦(すぎうら ともひこ)弁護士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所 神奈川県弁護士会所属。刑事弁護と中小企業法務を専門的に取り扱う。刑事事件では、特に身柄の早期解放に定評がある。日本弁護士連合会中小企業法律支援センター事務局員としても活躍。